40年前の春に激突した「三大アニメ映画」 勝負は「売上」だけで測れなかった?
単なる「数字」では測れない 当時のファンによる評価

実はこの3本以外にも、春アニメ映画は何本か公開されていました。まずは前月の2月11日に東宝系で公開した『うる星やつら オンリー・ユー』です。
当時大人気だった『うる星やつら』の初劇場版オリジナル長編アニメで、こちらもアニメ雑誌などで大きく扱われていました。TV版のノリを長編で製作した雰囲気は、多くのファンを満足させます。
また当然としてハイティーン向けの作品ばかりだけでなく、純粋な子供向け作品も公開されました。子供向け映画の定番だった「東映まんがまつり」も3月13日に公開されています。
この時のメインは、やはり当時人気の高かった『Dr.スランプ アラレちゃん』から『ほよよ!世界一周大レース』でした。この他にも併映で『バッテンロボ丸 お化け飼う少女』、『科学戦隊ダイナマン』、『まんがイソップ物語』が東映系列で公開されています。
そして、春休み映画の定番となりつつあった長編映画『ドラえもん』シリーズ第4作として、『ドラえもん のび太の海底鬼岩城』が3月12日から東宝系列で公開されました。
TVシリーズと違って感動的な作風がメインとなる長編映画シリーズですが、本作は特にその傾向が強いと言われています。同時上映は『忍者ハットリくん ニンニンふるさと大作戦の巻』『パーマン バードマンがやってきた!!』で、『パーマン』は4月からのTVシリーズに先駆けた第0話となっていました。
こういった作品群のなかで、『幻魔大戦』が10億6000万円を記録、1983年の邦画配給収入でも8位に入る好成績となります。続いて『宇宙戦艦ヤマト 完結編』が10億1000万円、『ドラえもん のび太の海底鬼岩城』が10億円でした。
『クラッシャージョウ』は6億6千万円とかなりの差がありましたが、それがそのまま内容の評価に直結するものではありません。なぜなら、その年のアニメ作品の人気をファン投票で選ぶ「アニメグランプリ」の第6回で、『クラッシャージョウ』は1983年のグランプリ1位に輝いたからです。
この年は『超時空要塞マクロス』の1位が本命視されていましたが、それを抑えての1位は興行成績とは違ったファン視点の人気の高さによるものでしょう。ちなみに主人公であるジョウは男性キャラクター部門で10票差という僅差で2位に終わっています。1位は『装甲騎兵ボトムズ』のキリコ・キュービィでした。
いつの時代も数字だけでは推し量れないことがあるもの。1983年3月のアニメ映画戦争で競った3作品は、後の世に与えた影響を考えればどれも素晴らしい作品だったと筆者は思います。
(加々美利治)



