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「第1部」の続きがない人気マンガ 作者の裏話を聞くと「無理かも?」

堂々完結!……ではなく、「第1部完」と締めくくられたマンガは、誰もが続編を期待してしまうものです。しかし、「第1部完」と打ち出したきり、10年以上も音沙汰ないマンガは少なくありません。そんな読者をソワソワさせる、「罪深き名作マンガ」に注目しました。

人気絶頂での「第1部完」

映画『THE FIRST SLAM DUNK』ポスタービジュアル (C)I.T.PLANNING,INC. (C)2022 THE FIRST SLAM DUNK Film Partners
映画『THE FIRST SLAM DUNK』ポスタービジュアル (C)I.T.PLANNING,INC. (C)2022 THE FIRST SLAM DUNK Film Partners

 人気マンガの物語のラストが「第1部完」で締めくくられていた場合、多くの人が「第2部」を期待せずにはいられないでしょう。しかし、それから何年経っても音沙汰がないマンガもあり、読者たちをソワソワさせてきました。

 後追いの世代にはあまり知られていませんが、「第1部完結」で衝撃を与えたマンガといえば、バスケマンガの金字塔『SLAM DUNK』が印象的です。同作といえば、2022年12月に映画『THE FIRST SLAM DUNK』が公開され、興行収入は140億円、観客動員は1000万人を突破し、再びブームを巻き起こしています。

 原作マンガは「週刊少年ジャンプ」1990年42号から1996年27号まで連載され、最終回では同誌の表紙と巻頭カラーを飾りました。これは「ジャンプ」初となる「単独表紙」を飾っての最終話であり、当時の人気ぶりがうかがえます。

 そして『SLAM DUNK』は、インターハイのトーナメント2回戦の強豪・山王工業高校との対戦の結末とその後のエピソードで、物語は幕を閉じました。すでに作中にも登場していた、3回戦以降でぶつかりそうだったライバル校と戦う描写はなく、山王戦に勝利した後の湘北高校バスケ部や、その関係者たちの集合写真に被せて、「山王工業との死闘に全てを出し尽くした湘北は 続く3回戦愛和学院にウソのようにボロ負けした」との説明があった後、登場人物たちの後日談が描かれています。

 そして、主人公・桜木花道のセリフ「天才ですから」で終わる最終ページには、「ジャンプ本誌」掲載版のみ、「第1部完」の文字が載っていました。単行本ではこの表記はなく、普通の「完結」に見えるラストに変更されています。しかし、本誌の方の「煽り文」で「再会の日まで天才の勝負は終わらない…!!」と書かれていたこともあり、いずれは花道たちと「再会」できると思っていた読者も多いようです。

 実は作者の井上雄彦先生は、2000年に放送された『トップランナー』(NHK)で、「続編」について語ったことがあります。その時の要約文として、井上先生の公式ウェブサイトには、「現在『スラムダンク』2及び続編の予定はございません」と前置きしつつ、「(井上先生は)描きたい欲求が自分の中に自然に出てくるのを待っている状態」「そういう気持ちでとりくめる時がきたら、第2部があるかもしれません」と綴られています。

 映画が大ヒットし、ブームが再燃している今、井上先生の言葉を信じたいところです。しかし、井上先生は上記の『トップランナー』で「山王戦より面白い試合は描けないと思っていた」とも言っていました。

 また、詩人・伊藤比呂美さんとの対談本『漫画がはじまる』では、「ある程度、支持を得られた作品であれば終わり方もちゃんとしなければならないという考えがありました」「やっぱりどんどんだめになっていってというのが絶対嫌だったんです。『もう何も出ません』で終わりたくなかったというか」と、人気絶頂期で終わらせた理由を語っています。続編も見たいですが、あの形の終わりが『SLAM DUNK』という作品にとっては一番いいのかもしれません。

【画像】タイトルだけだと分かりづらい? ファンしか「第2部」「続編」だと知らないマンガ(6枚)

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