騙された! 知らぬ間に「悪の片棒」を担がされるゲーム トラウマイベントも発生?
良かれと思ってとった行動が、実は悪に加担していた……。そんな衝撃を与えたゲームほど、プレイヤーの心に深く刻み込まれるものです。
ゲーム内の指示が必ずしも正しいとは限らない!

ゲーム内で「こうしろ」「ああしろ」と指示されたことが必ずしも正しい行動とは限りません。たとえ本人が正義のつもりでプレイしていても、知らぬ間に悪事に加担していた例も珍しくないからです。今回は、「プレイヤーが悪の片棒を担がされるゲーム」を3つ振り返ります。
※この記事は『星のカービィ Wii』『テイルズ オブ ジ アビス』『ヴァルキリープロファイル』のネタバレを含みます。
●純粋な気持ちで助けたら……
大人気「星のカービィ」シリーズといえば、その可愛らしいポップな絵柄でゲームにもほのぼのとしたイメージがあります。しかしカービィのお人好しな性格が災いし、いつの間にか悪の片棒を担がされるのが、2011年10月に発売されたWii専用ソフト『星のカービィ Wii』です。
物語は、空から墜落してきた宇宙船をきっかけに始まります。船のパーツはあちこちに散らばり、宇宙船の主・マホロアは困り果てていました。それを不憫に思ったカービィたちはパーツ探しの旅に出ることになり、やがて宇宙船の修理が無事に完了します。
そのお礼としてマホロアはカービィたちを故郷の惑星「ハルカンドラ」へと案内し、さらには奥地の火山で眠る4つ首のドラゴン「ランディア」を討伐するようお願いしました。マホロアに言われるがまま、ドラゴンを撃破するカービィたちでしたが、実はこれが大きな間違い。そのドラゴンは「ハルカンドラ」の秘宝を守る守護神であり、マホロアこそが「ハルカンドラ」を脅かす悪の存在だったのです。
宇宙船が墜落したのも、秘宝を盗もうとしたマホロアがドラゴンに敗北したためでした。そして、巧みな嘘で秘宝の力を手にし、邪悪な本性を見せたマホロアが、最後の敵としてカービィたちの前に立ちはだかります。同作をプレイした人からは「マホロアの裏切りは衝撃デカかったな」「まさか黒幕なんて思わないから純粋な気持ちでマホロアを助けてしまった」などの声が寄せられていました。
●主人公の行動が歴代屈指のトラウマイベントに
初対面の相手に陥れられるよりも悲惨なのが、信頼関係を築いた相手に騙されるケースでしょう。2005年12月に発売された「PlayStation 2」用ソフト『テイルズ オブ ジ アビス』では、主人公が師匠と慕っていた相手に裏切られてしまいます。
主人公のルークは10歳の頃に記憶喪失となり、家でも軟禁状態にされるなど複雑な環境で育ってきました。そんな生活でも、剣の師匠として長年お世話になったヴァンには信頼を置いており、師匠と呼ぶほどの間柄です。
ストーリー序盤は、プレイヤーからも頼れる存在に見えたヴァンですが、瘴気に覆われた鉱山都市・アクゼリュスでの再会をきっかけに雲行きが怪しくなります。ヴァンは瘴気を解決するため、あらゆるものを分解し再構築する「超振動」を起こすようルークを唆すものの、実は彼の言うことはすべて嘘でした。「超振動」は瘴気を解決するどころか、アクゼリュスそのものを消滅させ、多数の住民の命を奪ってしまったのです。
ルーク本人に悪意は無かったとはいえ、後に彼は仲間たちに責められ、目も当てられない展開に……。「アクゼリュス崩落」は、ゲーム界屈指のトラウマイベントとして、今もなお語り継がれています。
●神の言いなりになってはいけなかった?
これまで紹介した2作は、プレイヤーは為す術もなく悪事に加担させられていました。しかしファンタジーRPG『ヴァルキリープロファイル』は、プレイヤーが神の悪事を見破れるかが命運を分けるゲームで、魔の手から逃れる選択肢もある「マルチエンディング」方式が採用されています。
同作は北欧神話がモチーフになっており、プレイヤーは半神半人の女神・ヴァルキリーとなって、戦争の戦力となる死者の魂を集めていきます。最高神・オーディンや最高神の座を狙うロキらに従って任務を遂行するだけでもエンディング(「Bエンディング」と呼ばれる)に辿りつきますが、ヴァルキリーの素性などが明かされることはありません。オーディンが犯した罪やロキが企てた悪行も解決しないまま、ヴァルキリーはただの歯車として役目を終えてしまいます。
そのためネット上では「初見泣かせ」などとささやかれていますが、実は同作のタイトルロゴに、真エンディングへのヒントが隠されていました。「神意を否定しろ」、つまり「神の言いなりになるな」という意味の英文が書かれており、その言葉通りヴァルキリーが自身の扱いに疑問を抱き、神に反旗を翻すことでエンディングが分岐して、「ベストエンディング」と呼ばれる結末に向かっていくのです。ゲーム内で指示された行動が実は正しくなかったという展開は、当時のプレイヤーに大きな衝撃を与えたのではないでしょうか。
相手の言うことをホイホイ聞いてはいけない。ゲームは私たちにいろいろなことを教えてくれますね。
(ハララ書房)