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漫画『神クズ☆アイドル』 幽霊とイケメンの二人三脚から、深い感動が押し寄せる

「次にくるマンガ大賞2019」コミックス部門で3位を獲得した『神クズ☆アイドル』。「ラクして稼げないならクビになる!」やる気ゼロの顔だけアイドルと、志なかばでこの世を去った人気アイドルの幽霊が協力する、熱い(?)お仕事コメディです。一風変わった設定とともに、アイドルのリアルな裏側が覗ける同作品の楽しみどころを紹介します。

ライブで歌わず踊らない? アイドルオタクのリアルさも必見

マンガ『神クズ☆アイドル』第1巻(一迅社)
マンガ『神クズ☆アイドル』第1巻(一迅社)

 マンガ『神クズ☆アイドル』(作:いそふらぼん 肘樹)は、2019年8月22日(木)に発表されたユーザー投票によるマンガ賞「次にくるマンガ大賞2019」のコミックス部門3位に選ばれました。やる気ゼロの顔だけアイドルと、生前大人気だった熱血アイドルの幽霊が出会う同作品、見どころはどこにあるのでしょうか。

 顔よし・性格よし・ファンサービスよしと三拍子そろったアイドル・吉野カズキと、顔よし・性格やる気なし・ファンサービスなしと、アイドルらしからぬアイドル・仁淀(によど)ユウヤ。2人はZINGS(ジングス)というアイドルユニットを組んでいますが、仁淀はライブ中にパイプ椅子を持ち出して堂々と座ったりと、あまりのやる気のなさにクビになりかけてしまいます。

「アイドルやめたい…」とつぶやいたそんな時、仁淀は交通事故でこの世を去った人気アイドル・最上(もがみ)アサヒの幽霊と出会います。「アイドルバカ一代」と言われたほどアイドルを続けたかったアサヒと、金のために芸能界に入りできるだけ楽をしたかった仁淀。利害が一致した2人は、ライブ等の場面で仁淀がアサヒに身体を貸すことになります。その後、パフォーマンスのあまりの変わりように仁淀の評判も上がりますが、ある日アサヒが仁淀の身体に入れなくなって…?

「男女の入れ替わりもの」と捉えるとありがちな設定に思えますが、作りこまれたキャラや意外な展開にぐいぐいと引き込まれていきます。特に主人公の仁淀のやる気のなさは徹底していて、「ライブで自己紹介をした直後にマイクを切る」「新曲披露で歌詞を忘れ、お客さんに歌わせる」ともはやすがすがしいほど。そんな仁淀がアサヒとの入れ替わりを通じてどう変わっていくのか、感動のエピソードもあり目が離せないポイントです。

 また、1巻後半では仁淀のファン目線のエピソードがあり、そのリアルさにも注目です。居酒屋で「ZINGSにあのライブ会場はまだ早いのでは?」とお客の入りを心配したり、「でも顔はいいから、他グループのファンが流れてきてくれるかも!」と希望を持ったり。愛ゆえに推しアイドルを本気で心配するファンの様子には、一度でもアイドルファンになったことのある方はかなり共感できるのではないでしょうか。

 全体的にコミカルですが、各キャラの背景も少しずつ明かされ、気が付いたら感動している…というエピソードもある同作品。設定に興味を持たれた方はもちろん、最近なんだかやる気の出ない方、推しのアイドルがいる方にぜひ楽しんでいただきたい作品です。

(新美友那)

【画像】『神クズ☆アイドル』の登場人物たち(3枚)

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