ガンダム以前、連邦はMS無しでどう戦うつもりだった? まさかのミノフスキー粒子ガン無視?
連邦軍はミノフスキー粒子下でどう戦おうとした?

ミノフスキー博士の亡命後に、連邦には「ジオンがミノフスキー粒子を重視した戦備を整えている」ことは伝わっているわけで、もちろん対策はなされたと思われます。「地球連邦軍はミノフスキー粒子の存在を理解しておらず、対策も考えていなかった」ということはあり得ません。
マンガ『機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』では、先行したMSが艦隊の目となり、索敵情報を伝達したり、電子戦を行ったりする様子が描かれています。
このようにミノフスキー粒子が濃い場合でも、近距離通信は可能ですから、複数機を介して通信すれば、後方の艦隊でも、ある程度敵情を把握できることになります。
MSに頼るつもりがない時期の連邦艦隊の目は、宇宙戦闘機セイバーフィッシュでしょう。戦闘機が、艦隊の目となってジオン艦隊の位置を味方艦隊に通報するとともに、ガトルやザクI(存在は把握しています)と交戦しつつ、可能であれば近距離から、機関砲や対艦ミサイルを撃ち込むつもりだったのでしょう。
とはいえ、劇中でトラファルガー級空母や、アンティータム級補助空母の存在感は乏しく、艦隊決戦の主役は、大量に整備されたマゼラン級戦艦やサラミス級巡洋艦だったのでしょう。
つまり、連邦軍は「ミノフスキー粒子下でも宇宙艦艇の砲撃は命中する」と考えていたわけです。事実、ソロモン攻防戦で、地球連邦軍のティアンム艦隊は、宇宙艦艇よりずっと小さい、モビルアーマーのビグ・ザムに集中砲火を浴びせ、ほぼ全弾を命中させています(ビームバリアで通用しませんでしたが)。艦砲射撃も条件が整えば、高い命中精度を出せるわけです。
連邦軍の自信の根拠。それは、ガンダムにも搭載された「教育型コンピューター」の存在だと思われます。MSに搭載できる教育型コンピューターが、戦艦や巡洋艦に搭載されていないはずがありません。むしろ「艦隊全体が学習して、ミノフスキー粒子の悪影響に対応する」という運用思想だったのではないでしょうか。
つまり、ミノフスキー粒子でセンサーが狂っても、艦載機が中継してくる索敵情報と、各艦艇に搭載された教育型コンピューターをリンクさせることで、敵艦隊の位置や針路を予測し、戦闘中に得られた経験値を順次反映して予測精度を高めていくという、戦術ドクトリンだったのでしょう。
傍証として、ランバ・ラルは「正確な射撃だ、コンピューターには予測しやすい」と発言し、ヤザンは「機動兵器に乗っているのに、動かんでどうする」と部下を叱責している場面があります。
実際、直線的に敵艦隊に突き進んだビグ・ザムは「コンピューターに予測」されて、「正確な射撃」を浴びさせられています。ジオンがミノフスキー粒子下で、人型兵器であるMSを主力としたのは「コンピューターに予測しづらい、複雑な動きができる機動兵器」だから、という意味です。
MSは手足を使ったAMBACで複雑な方向転換を可能とし、武器も持ちかえられることで、コンピューターの予測を難しくできます。また「通常の3倍のスピード」とか「ジェット・ストリーム・アタック」のように、パイロットの特性に合わせて、複雑な戦術機動も行えます。そうした「MSにしかできない創意工夫の戦術」によって、教育型コンピューターが対応しづらいと、ジオンは知っていたのでしょう。
開発リソースの無駄に見える「続々と登場する新型機」も「おもちゃ会社の都合」ではなく、作中の世界観をベースに考えるなら、教育型コンピューターで「予測」させにくくするために、「新型機」「既存タイプでも高機動型」といったバリエーションが有効だからだと考えられます。多数「ガンダム」が存在するのも、コンピューターの予測を狂わせるためでしょう。
このように考えるなら、MSが、人型のままオプション装備を付けたり、人型から変形する進化に進んでいくのは「戦術機動の複雑さ」を実現するためでしょうし、ファンネルやインコムといった「死角から不意を撃つ」兵器が開発されていくのも、その延長線であったと考えられます。
コア・ブースターやGディフェンサーのような、コストをかけた宇宙戦闘機は、搭載された教育型コンピューターの性能が高く、比較的MSに対応できたということなのでしょう。
宇宙世紀の世界観で、人型兵器が無くならず、次々に新型が登場するのは、教育コンピューターでも予測しにくい人型兵器特有の戦術オプションに対抗するため。そのために、対抗側も人型が必要だから、ということだと、筆者は考えますが、皆様はどう思われますか?
(安藤昌季)




