『ガンダム 水星の魔女』が女性主人公になった「必然の理由」 アムロとは担う役割が違う?
『機動戦士ガンダム 水星の魔女』では初の女性主人公となるスレッタ・マーキュリーが登場しました。過去、「ガンダム」シリーズには数多くの女性パイロットが登場していますが、なぜ『水星の魔女』では女性を主人公にしたのでしょうか? その問いかけを起点に、歴代作品の主人公像の変遷を考えます。
歴代作品で「女性パイロット」は多かったが?

『機動戦士ガンダム』シリーズの主人公像は、約20年おきに大きく変化する。2022年から23年にかけて放送されたアニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』(以下、水星の魔女)を見終えた筆者はそのように感じました。
女性パイロットであるスレッタ・マーキュリーを主軸に据え、相方のヒロインとしてタイプの異なるミオリネ・レンブランを配置したキャラクター構成は、近年流行している女性バディものとして理想的な組み合わせです。また、女性をしんどい目にあわせると海外からも多くの抗議が寄せられる実情に対応するためか、きつい局面を担当する裏主人公として、グエル・ジェタークを機能させたのは、脚本の妙と言えるでしょう。
なぜ『水星の魔女』は女性主人公を採用したのか? という疑問をひもといていくと、歴代ガンダム作品の「主人公像」の変化が見えてきます。
過去、「ガンダム」シリーズには多くの女性パイロットが登場しています。そもそも初代「ガンダム」の時点でセイラ・マスがガンダムやGファイターに登場しているのに加え、『機動戦士Zガンダム』ではフォウ・ムラサメやレコア・ロンド、ファ・ユイリィなど大勢が登場しており、数え上げればレギュラーの男性パイロットよりも多いくらいです。
とはいえ、女性パイロットの存在が当たり前でありながら「ガンダム」シリーズの主人公は長く男性に固定されてきました。
その理由として考えられるのは、男性主人公が「伝統」化していたからだと思われます。「ガンダム」ほど長く愛され続けているコンテンツには、根強いファンが存在しているものです。女性パイロットを主人公にするのは非常に挑戦的な試みであり、歴代の制作者はファンからの反発を受ける可能性も考えていたのではないでしょうか。
しかし、おおもとをたどれば、1979年に放送が開始された『機動戦士ガンダム』はそれまで熱血系の主人公が多かったロボットアニメに、メカいじりが好きな根暗な少年であるアムロ・レイを主人公とした、一種の革命的な作品でもありました。




