漫画家・武井宏之が語る『シャーマンキング』の「新章」 誰もが抱える「おかしくない?」の思いに斬り込む
「新章」第1話のネームはまとまりつつある?

――『SHAMAN KING THE SUPER STAR』の連載が始まった2018年頃は、そのあたりのことをどのぐらい意識していたんですか?
武井 あ、『SUPER STAR』を始めた時は、正直その意識はなかったです。『SUPER STAR』は、それ以前にやっていた『FLOWERS』の補完だって読者の人はわかっていると思うんだけど、実はその『FLOWERS』も本当はやるべきではないと当時思ってたんだよね。
その前(『SHAMAN KING』)が紆余曲折の末にやっと完結して、もう手を出すつもりはなかったの。本当に! ところが雑誌が新創刊するって時にすごくお願いされて……まあ、断り切れなかったんだよね。それで始めてしまったんだけど、雑誌が途中で無くなるとかいろいろあって(笑)、講談社に来たわけですよ。そしたら再スタートを切ることになる。
でも新しいことやるにも、そのためには『FLOWERS』の責任を取らなきゃって思ってたし、もうそれだけだった。もちろん始まってからはいろいろ考えたりもしたけど、始まった時っていうのは、正直そういう感じだった。
――『SHAMAN KING FLOWERS』は、何をやるにもまずこれをどうにかしなきゃ! っていう存在なんですね。
武井 そう、そうなんですよ。……で! なので、本番は次なんだよね。
――「次」ですか? え、まさか新作ですか!?
武井 そう。これは『SUPER STAR』が始まる時に、もう次のタイトルもプランも出来てたわけ。だから「フラワー・オブ・メイズ」が全然始まらない、いつ始まるんだ? ってみんな思ってるんだけど、『SUPER STAR』ではやらないってことは自分のなかでプランが決まってた。でも、そのことを言っちゃいけないっていう人がいるから、ずっと言えなかったんだよね……。ちょっとそのいきさつを説明してもらいましょうか?
編集担当・Y田 いや、その……この物語には次がありますっていうことを表明した状態で、読者にこう……面白いので買ってくださいとは言えないじゃないですか。それだと『SUPER STAR』が「つなぎ」だって言ってるみたいだし、そう誤解されるかもしれないし……。だから先生すみません、そこはちょっと黙っておいてくださいお願いします、という話はしていました。
――それは確かに誤解を招きそうですね。だって全然「つなぎ」じゃないですよね、作品として十分面白いです!
Y田 それはチームハオのキャラクターたちが作品のなかで動いていくにつれ、先生のなかで、あれもやんなきゃ、これも掘らなきゃっていうのがたくさん出てきたおかげでもありますね。だからなおさら「SKY」までのつなぎだとは思われたくなかったわけです。
武井 あ、言っちゃったね(笑) そう、次のタイトルは『SKY(スカイ)』です。コミックス35巻の最後にも書いてあるので、薄々気付いていた人もいるかもしれない。
武井 そんなわけでね、「フラワー・オブ・メイズいつ始まるの?」って言われながらも、今頑張ってそこまでの盛り上がりを描いてます(笑)
――でも、繰り返しになりますが、『SUPER STAR』はつなぎでも何でもなく面白いと思います。例えば本作では「資本主義の神」というラスボス的な存在がいます。こういうのは、ファンだけでなく今まで作品を知らなかった人……特に30~40代以上の社会人の方にピンと来るようなものだと思うんです。
いま当たり前のように暮らして働いているけれども、「なんかおかしくないか?」という思いを抱えていて、作中のキャラクターたちもそう思って挑もうとしている……こういう壮大なテーマを高レベルなエンタメとしてまとめているのが『SUPER STAR』だと思うんです。
武井 そう言ってもらえるとありがたいです(笑)そのエンタメっていうやつ……実は自分は、マンガを辞める前には絶対エンタメをしっかりやりたいっていう気持ちがずっとあるんです。
で、その気持ちを極めたものを、次の『SKY』でやろうと思ってるんですよ。それで今ネームを準備してるところです……1話。これでいけるかなっていう叩き台までできてるけど、押しつけがましい説教臭さが出ないようにするのが大変で苦労してます。さっきも出たけど、お金とか資本主義を100パーセント否定するつもりはなくて、でもおかしいところたまにあるじゃん? っていう雰囲気を上手く出すのが大変で。「この世界」とか「社会」なんて単語を使った時点でもう説教なんですよ。だからその単語を避けてやりたいと思うんですよね……。
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2012年に雑誌連載が始まった『SHAMAN KING FLOWERS』は、紆余曲折を経て事実上の未完で幕を閉じました。『SHAMAN KING THE SUPER STAR』はその流れを汲んだ続編的な作品ですが、武井先生のなかでは連載当初からすでに次の作品『SKY』の構想がありました。「フラワー・オブ・メイズ」もそこで繰り広げられるというのです! ただそれを究極のエンタメとして送り出すには大きな苦労があるようです。次回は最新作『SKY』について込めた武井先生の思いを、より掘り下げていきたいと思います!
(タシロハヤト)




