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実は「ドラクエ」の前フリ!? 11月29日はFC初ADV『ポートピア連続殺人事件』の発売日

1985年11月29日、ファミコン初のアドベンチャーゲーム『ポートピア連続殺人事件』が発売されました。「犯人は○○」というフレーズで、未プレイの人にもその真犯人の名前が広く知られているという、稀有なタイトルでもあります。

買ってもらった次の日くらいに「犯人は○○」と教えてくれた××君、お元気でしょうか

「ドラクエ」の生みの親、堀井雄二氏の手によるアドベンチャーゲーム『ポートピア連続殺人事件』 (C)1985 エニックス
「ドラクエ」の生みの親、堀井雄二氏の手によるアドベンチャーゲーム『ポートピア連続殺人事件』 (C)1985 エニックス

 11月29日はファミコン初のアドベンチャーゲーム『ポートピア連続殺人事件』(以下、『ポートピア』)の発売日です。本作はプレイヤーが主人公の刑事となり、部下のヤスとともに殺人事件を捜査するという内容で、当時のファミコン用ゲームとしては異色だったといえるでしょう。

『ポートピア』は、「ドラゴンクエスト」シリーズの生みの親であるゲームデザイナー堀井雄二さんが手がけたゲームです。1983年にPC版が発売され、その後、1985年にファミコンへと移植されます。

 1983年7月にファミコンが発売されてから『ポートピア』が発売されるまでの間に、世に出たそのゲームソフトは、アクションやシューティングが主流でした。つまりその多くは直接キャラクターを動かして遊ぶスタイルだったのです。このスタイルに慣れたプレイヤーからすると、『ポートピア』のコマンド選択で物語を進める方式は斬新でした。

 ゲームを始めると部下の「ヤス」が登場し、彼から事件について説明を受けます。プレイヤーは、画面に表示されている「ばしょいどう」「ひとに きけ」「なにか みせろ」などのコマンドを選択してヤスへ指示を出しながら、犯人は誰かを推理していく、という流れです。この「コマンドを選択しすすめていく」という方式は、実は、翌年に発売される『ドラゴンクエスト』の前に慣れてもらおうとして採用したものだった、と、のちに堀井さんは説明しています(2009年9月3日付 CNET Japan「ドラクエ生みの親、堀井雄二氏が語る『国民的ゲーム』のつくり方」による)。

 なお、本作にはパスワードやセーブ機能といった、ゲームの中断機能はついていません。すき間時間に遊んでみようと気軽に始めたはいいものの、クリアするまでやり続けるか、あるいは途中で断念するしかないわけです。SNS上の「こっそりファミコンの電源入れっぱなしで翌日まで置いておいた」「セーブできないから、いつも最初からやり直していた」との声に共感が集まっている様子が見られました。

 2023年4月24日には、AI技術を取り入れたPC版『ポートピア連続殺人事件』が配信されています。「コマンド選択式」をファミコンに持ち込んだ本作に、最新のインターフェイスを導入したリメイク作です。

 真犯人の名前はすでに広く知られているわけですが、実はこれまで未プレイだった、という人も多いのではないでしょうか。最新リメイク作で衝撃の結末を是非、味わって、そのうえで改めて胸を張って声を大にして口にしてみましょう、「犯人は○○」と。

(LUIS FIELD)

【画像】実は事件の真相が示唆されていたパッケージイラストを改めてチェックする!(5枚)

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