「悲壮感エグすぎ…」 『ワンピ』旧三大将である赤犬・黄猿・青キジの「現在」が苦しい
「赤犬」サカズキにも人間の心があった?

一方で、いつもひょうひょうとしていてつかみどころのない存在だったボルサリーノも、人間味のある部分が徐々に明らかになっています。「エッグヘッド編」では、Dr.ベガパンクの暗殺を命じられたボルサリーノが、エッグヘッド島に侵入する展開が描かれました。しかし、そこで描かれた回想シーンによると、実はボルサリーノにとってDr.ベガパンクは古くから親しんできた「友人」であり、その部下である戦桃丸に至っては「愛弟子」だったようです。
「シャボンディ諸島編」の頃から、私情をはさまず淡々と任務をこなす印象だったボルサリーノですが、エッグヘッド島での任務にはさすがに心を揺さぶられたのでしょう。戦う前に戦桃丸へ降伏するようにと説得を行っており、本当は愛弟子を傷つけたくはないという本音をのぞかせていました。
さらに第1092話では、ルフィからなぜDr.ベガパンクを始末したいのかとたずねられた際、「殺したいわけがない」という想いをセリフににじませています。結局ボルサリーノもまた、単なる組織の歯車ではなく、人間らしい葛藤を秘めた人物だったのでしょう。
対してサカズキはまだ、ほかのふたりほどブレた姿勢は見せていません。かねてより彼は「徹底的な正義」を掲げており、海賊に対して情け容赦のない暴力をふるってきました。「2年後」の世界では、新たな海軍元帥として、各地の部下たちに命令を飛ばす姿が描かれています。
しかし本人のやる気は別として、元帥という立場からいろいろな苦労も背負っています。世界政府の最高権力「五老星」から無茶な命令を下される一方、部下である海軍大将・藤虎からは反抗的な態度をとられ、読者のあいだでは板挟みの状況を「中間管理職」と揶揄(やゆ)されている始末です。
また「エッグヘッド編」では、ほのかに人間性を感じさせる描写もありました。聖地マリージョアで暴走するバーソロミュー・くまを止めに入った際、意図的なのか偶然なのかトドメを刺せず、その姿に対して「意思も心も全て失った『人形』がよ……!!」という言葉を投げかけていたのです。まるで自分自身に言い聞かせているかのようなセリフでもあり、サカズキの人間味を感じる読者も多かったのだとか……。
物語が進むに連れて、ようやく旧三大将の人物像が見えてきた印象です。彼らの掲げていた「正義」はどこに行きつくのか、今後のエピソードからますます目が離せません。
(ハララ書房)



