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まさに大収穫! 「油断してたらめちゃくちゃ良かった」23年のアニメ映画

期待を大きく上回る感動と興奮!

●『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』

『屋根裏のラジャー』ポスタービジュアル (C)2023 Ponoc
『屋根裏のラジャー』ポスタービジュアル (C)2023 Ponoc

 11月17日に公開された『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』は、2023年アニメ映画界のダークホースといっても過言ではないかもしれません。本来なら公開後は徐々に落ちていくはずの観客動員数が右肩上がりに上昇していき、口コミを伴って興収10億円を楽々と超えるヒット街道を突き進んでいます。まさかここまで話題になるとは……。

 物語はとある雑誌記者が深い山中で鬼太郎とねこ娘に遭遇するところから始まり、時代がさかのぼって東京の血液銀行に勤める水木へと語り部がスイッチします。哭倉(なぐら)村の龍賀家を訪ねた水木は財政界を牛耳る龍賀一族の跡継ぎ争いに巻き込まれ、そのさなか行方不明の妻を探すゲゲ郎と出会うことになりました。やがて龍賀一族の忌まわしき「秘密」が明らかになり、事態は思わぬ方向へ突き進んでいきます。

 昭和の山村を舞台に横溝正史的な殺人事件が描かれており、その凄惨ぶりはPG12指定止まりでいいのかと心配になるほどです。とくに本作の「黒幕」は近年類を見ない胸糞キャラで、その目的も行動も一切同情の余地はありません。

 一方で、深い愛情を内に秘めるゲゲ郎&水木コンビが多くの観客を魅了することになりました。「鬼太郎」というビッグコンテンツを根底に敷きつつ、妖怪譚、サスペンス、ホラー、バトルアクションへとジャンルを越境する物語は必見です。

●『屋根裏のラジャー』

『メアリと魔女の花』に続くスタジオポノックの長編アニメーション『屋根裏のラジャー』(2023年12月15日公開)は、子供が作り上げる「空想上の友達(イマジナリーフレンド)」を題材にした作品です。イギリスの作家・詩人のA.F.ハロルドによる小説『The Imaginary(ぼくが消えないうちに)』を原作に、高畑勲監督作品への参加で腕を磨いてきたアニメーター・百瀬義行氏が監督を務めました。

 物語の主人公・ラジャーは母親と暮らす少女・アマンダの想像が生み出した「イマジナリ」であり、アマンダ以外の誰の目にも姿は見えません。アマンダの見ている世界で現実と空想が交錯するなか、謎の男「ミスター・バンティング」の出現によって、ふたりの運命は大きく変わることになりました。ラジャーは猫のジンザンに導かれ人間に忘れられてしまったイマジナリが暮らす「イマジナリの町」にたどり着き、そこで出会った少女・エミリの協力を得て未来を懸けた「最期の冒険」へと旅立ちます。

 現実と空想を行き交う作品だけに「よくある子供向けのファンタジー」と思われるかもしれませんが、本作は子供の想像力の豊かさや、拠り所にしていた愛を失いながらも子供なりに懸命に生きていく力を描いた作品です。また大人になることで忘れられ消えていくイマジナリの「記憶」もテーマのひとつにあるため、大人になって時間が経った人ほど胸に迫り大きな余韻が残るのではないでしょうか。

 2023年のアニメ映画では、他にも『金の国 水の国』や『SAND LAND』、最近では『駒田蒸留所へようこそ』、映画『窓ぎわのトットちゃん』といった作品が高い評価を受けています。既にソフト化・配信済みのものもあるので、年末年始にぜひその目で各作品の魅力を確かめてみてください。

(葦見川和哉)

【画像】え? こんな作品もヒットしてたの? これが2023年「アニメ映画興行収入ランキング」です

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