カオスすぎて放送拒否? 「地上波NG」とウワサになった問題作アニメ3選
内容がムフフすぎて「地上波チキンレース」開幕!?

端から地上波で放送されなかったアニメもあれば、途中で放送を阻まれてしまった作品も存在します。それが2020年1月に放送された『異種族レビュアーズ』でした。
あらすじをざっくり説明すると、主人公がエルフやフェアリーといった「異種族」が働くムフフなお店に通い、ムフフなサービスを体験し、レビューを行っていく物語です。内容が内容なだけに、TVアニメ化が決まった際には、世間から「正気か?」という声が続出し、原作者の天原先生本人も「世間のみなさまと同じように最初は『正気ですか?』と思いました」とインタビューで答えていました。そして、その不安は見事に的中します。
まず第5話の放送を控えた2020年2月7日に、「編成上の都合」という理由からTOKYO MXでの放送が中止になりました。さらに2月18日、今度はサンテレビが放送中止を発表し、『異種族レビュアーズ』の地上波放送はKBS京都のみという状況に陥ります。
なお各局が次々に放送を取りやめていく様子は、一部のアニメファンから「地上波チキンレース」などと呼ばれていたそうです。そんな状況にありながらも見事完走し、なおかつ同年7月には再放送も果たしたKBS京都には、拍手を送るしかありません。
最後にご紹介するのは、大人気作品『カウボーイビバップ』です。今でこそ高い評価を受けている同作ですが、初めて地上波で放送された当時はさまざまな事情により、全26話あったうちの12話+総集編(最終話)しかオンエアされませんでした。
その理由のひとつには、独特な渋い作風から「この作品は売れない」と判断され、放送枠を確保できなかったというのもあるそうです。そしてもともと全26話の予定で構成されていた同作は、最終話にあたる第13話「よせあつめブルース」をもって一旦終了を迎えることとなります。
この第13話は作中の映像を切り取りつなぎ合わせた、いわゆる総集編のような形でしたが、ラストシーンでは「THIS IS NOT THE END」「YOU WILL SEE THE REAL”COWBOY BEBOP”SOMEDAY!」というメッセージが映し出され、これが真のエンディングではないことが暗示されていました。
それから4か月後、放送局をBS有料放送であるWOWOWに移し、『カウボーイビバップ』は再び視聴者の前に帰ってきます。13話も総集編ではないものに変えて、全26話の完全版となり、我々のよく知る『カウボーイビバップ』がここに完成したのです。
こうして振り返ってみると、「問題作」ばかりというわけでもなく、作品によってさまざまな理由があったことが分かります。地上波での放送には、大人の事情が絡んでいるのです。今後何かのアニメが放送中止になった際には、その背景に想像を巡らせてみてはいかがでしょうか。
(ハララ書房)