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『AKIRA』に打ちのめされた漫画家たちとその「大友克洋」を形作ったレジェンドたち

レジェンドの名作をオマージュしている大友先生の作品群

KCデラックス『AKIRA』第1巻 書影(講談社)
KCデラックス『AKIRA』第1巻 書影(講談社)

 日本で常識だった概念を破壊するような革命を起こした大友先生は、しかし、過去の作品から影響を受けなかったかと言われたら、決してそんなことはありません。

 というのも2001年10月25日に発売された『Akira DVD Special Edition』(バンダイビジュアル)には、以前大友先生におこなわれたインタビューの音声「大友克洋監督インタビュー1993」が収録されており、そこでは手塚治虫先生や石ノ森先生の作品に対して敬意を露わにする発言が確認できます。

 インタビューによれば、大友先生が初めて手がけた本格SF作品といわれる短編『Fire-ball』に登場するコンピューターの「ATOM」は、尊敬の念を込めて手塚先生の『鉄腕アトム』にちなんだとのこと。

 さらに「漫画を革新」した歴史的傑作といわれる『童夢』には、「エッちゃん」という女の子のキャラクターが登場し、これは石ノ森先生の作品『さるとびエッちゃん』から名付けたそうです。偉大なる先人へのオマージュだったのですね。

 また大友先生曰く、『AKIRA』が生まれたきっかけは、横山光輝先生の『鉄人28号』だそうです。そもそも『AKIRA』の主人公「金田正太郎」という名前は、『鉄人28号』の主人公と同姓同名で、インタビューでは「(『AKIRA』の金田正太郎は)『鉄人28号』のなかに出てくる金田正太郎をイメージして描いた」と話しています。超能力者の少年「アキラ」の別名「28号」もしかり、とか。

 後年、大友先生は紫綬褒章を受章した際のインタビューにて、「子供の頃読んだマンガであったり、小説であったり、そういうものが大好きでしたんでね。いまだに好きですし、いまだに読んでます」と語っていました(YouTube 文部科学省/mextchannel「平成25年秋の褒章 大友克洋さんインタビュー」より)。山田先生や島本先生と同じく、大友先生もまた、レジェンド漫画家たちに影響を受けていたのです。

 ちなみに上述の、受章時のインタビューにおいて大友先生は、『AKIRA』を語るうえで外せない「2020年に東京オリンピックが開催されることが予言されていた」という都市伝説について発言しています。いわく、「ぼくも全然知らなかったです」といい、「飲み屋のおやじに教えてもらって、『話題になってるよ』って言われて」「偶然ですから気にしないでください」とのことでした。

 2023年末現在、大友先生の新たなマンガやアニメが世に出るという発表はされていません。今後また、大友先生の新作が出ることを期待して待ちましょう。

(LUIS FIELD)

【画像】こちらがおなじみ「AKIRAの予言」といわれるカット(4Kリマスター版)です(6枚)

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