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一歩間違えれば打ち切りだった? 「勝負どころ」で人気を得たジャンプ作品

大ヒットを記録しているジャンプの名作たちも、実は一歩間違えていれば「打ち切り」になっていた可能性も十分に考えられました。結果的には成功していますが、分岐点を知ると、それはかなりシビアな戦いであったことがうかがえます。今回は、打ち切りになりそうだったジャンプの人気作品を3つ振り返りましょう。

急な路線変更によって低迷を打破?

サントラ集「銀魂BEST3」CD(アニプレックス) (C)空知英秋/集英社・電通・サンライズ・アニプレックス (C)空知英秋/劇場版銀魂製作委員会
サントラ集「銀魂BEST3」CD(アニプレックス) (C)空知英秋/集英社・電通・サンライズ・アニプレックス (C)空知英秋/劇場版銀魂製作委員会

 大ヒットマンガとして名を馳せた作品のなかには、「打ち切り間近」まで追い込まれたものも存在します。特に「週刊少年ジャンプ」は厳しいアンケートシステムがあり、人気が低迷すれば掲載順が後ろの方になり、それでも注目されなければ打ち切りになるというシビアな世界です。今回は打ち切りの危機を脱し、大ヒットまでかけのぼったジャンプ作品3つを振り返りましょう。

●『銀魂』空知英秋

 2003年から2019年まで連されていた『銀魂』(作:空知英秋)は、アニメ版もや実写版も大ヒットし人気コンテンツのひとつになりました。

 単行本累計発行部数5500万部以上という結果を出した同作ですが、以前マイナビニュースに掲載された空知先生のインタビューによれば、連載当初は苦戦を強いられたようです。

 そもそもジャンプは読者によるアンケートを踏まえて掲載順を決めたり、最悪の場合は打ち切りになってしまうこともあったりする厳しい世界で、当時を振り返った空知先生は「ビリッケツでした」と思い出しつつ、「よく生き残れたなと思います」と語っていました。

 人気を獲得するまで10週ほどかかったそうで、第17訓「酔ってなくても酔ったふりして上司のヅラ取れ」で、「勝負をかけよう」と決意したといいます。同話では主人公の坂田銀時一派と真選組が「叩いてかぶってじゃんけんぽん」をして花見の場所取りをするという回で、空知先生が「派手なのをやろう」と言っていたように、多くの個性的なキャラたちが登場しました。

 そんな第17訓以降着実に人気を得ていったとのことですが、空知先生いわく、良い予兆は第11訓「べちゃべちゃした団子なんてなぁ、団子じゃねぇバカヤロー」から感じていたそうです。ただ空知先生は11訓の「じいさんのことを描いた話」が好評だったのが納得できず、未だに「組織票」を疑っているとも語っていました。

●『遊☆戯☆王』高橋和希

 今も世界中で人気を博しているトレーディングカードゲーム「遊戯王OCGデュエルモンスターズ」の元となるカードゲームが登場した『遊☆戯☆王』(作:高橋和希)も、打ち切りのピンチに直面した作品のひとつです。

 ジャンプで1996年42号から2004年15号まで連載した同作は当初、主人公の武藤遊戯が「千年パズル」を解いたことで、遊戯のなかに別の人格である「闇遊戯」が誕生し、その闇遊戯が極悪非道な連中を「闇のゲーム」を通して制裁を加えるという作品でした。

 しかし13話から20話にかけて描かれた「シャーディー編」では、シュールで難解な内容となったことが原因となり、それまで獲得していた人気が急降下しました。『遊☆戯☆王』文庫版2巻のあとがきで高橋先生は、当時について「人気は急降下し、打ち切りの話も出る始末」「今から路線変更はできない」「ボク自身が心の迷宮に迷い込んでしまったような焦燥感だった」と振り返っています。

 ピンチを迎えた高橋先生でしたが、そこからV字回復したポイントは前述したトレーディングカードゲームにありました。

 すでに9、10話に登場した架空のカードゲーム「マジック&ウィザーズ」の話を「DEATH-T編」で復活させ、それ以降はカードバトルをメインにした話になります。その結果、関連書籍の累計発行部数は4000万部、そして「遊戯王OCG」はビジネスの一大市場になるほど拡大しました。打ち切り直前だったのが、思い切った決断によって、世界的に有名なコンテンツとなったのです。

【画像】え…っ? アンケ結果より「パロディやりすぎ」が心配? これが堂々と「かめはめ波ポーズ」をしている銀魂・銀さんのフィギュア(公式)です(3枚)

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