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劇場版『ガンダムSEED』公開へ 「宇宙世紀以外は認めない」問題を考える

「ファーストガンダム」を意図的に踏襲した物語展開

続編の『SEED DESTINY』では、戦乱のなかで家族を失った少年、シン・アスカの視点で物語が展開する。2月4日にBS12で放映予定の『機動戦士ガンダムSEED DESTINY スペシャルエディション 砕かれた世界 HDリマスター』より (C)創通・サンライズ
続編の『SEED DESTINY』では、戦乱のなかで家族を失った少年、シン・アスカの視点で物語が展開する。2月4日にBS12で放映予定の『機動戦士ガンダムSEED DESTINY スペシャルエディション 砕かれた世界 HDリマスター』より (C)創通・サンライズ

 新しいファン層の開拓を前提に企画された『SEED』ですが、内容もライトかというと決してそうではありません。遺伝子操作で生まれてきた「コーディネイター」と従来の人類である「ナチュラル」との間で抗争が激化。中立国で平和に暮らしていたキラたちも、戦争に巻き込まれてしまいます。

 物語設定は、意図的にファーストガンダムを踏襲した形となっており、ファーストガンダムと同様に悲惨な戦いが繰り広げられます。キラの仲間たちは次々と戦火の犠牲となり、キラは幼なじみのアスラン・ザラとも戦うことになります。

 島国である日本で暮らしていると、人種問題などに直面する機会がなかなかありませんが、『SEED』では同じ人間同士が「ナチュラル」か「コーディネイター」かで憎み合い、報復の連鎖が続くことになります。人種問題、民族紛争を分かりやすく取り入れた物語となっています。2001年9月11日に起きた「NY同時多発テロ」をはじめとする、混迷する世界情勢に向き合った作品でもありました。

 さらに2004年~2005年にTBS系で放映された続編『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』では、『SEED』の主人公・キラと敵対するザフト軍に所属するシン・アスカが新しい主人公となり、シンの視点から物語が進んでいきます。対立する双方の立場から戦争を描いた構成は、評価すべきところでしょう。

 ただ、『SEED』の初期設定だけを聞くとファーストガンダムを安易にトレースしたように感じられるため、その点も反感を買いやすかったようです。

富野監督の「SEEDは嫌いです」発言

 富野監督作品や「宇宙世紀」という世界観を愛するファンが、「宇宙世紀以外の作品はガンダムとは認めない」と主張する要因のひとつに、富野監督の「はっきり言います。SEEDは嫌いです」という発言があります。しかし、富野監督は自身の作品に対する評価も厳しく、ファーストガンダムの続編『機動戦士Zガンダム』(テレビ朝日系)は劇場版三部作としてつくり直しています。富野監督の言葉は、そのまま鵜呑みすることはできません。本当に嫌いだったら、完全に無視するのが人間です。

 もちろん、新しいキャラクターと別の世界観の物語をつくるのなら、「ガンダム」と名乗らずにオリジナル作品として制作すればいいじゃないかという声もあるわけですが、それはクリエイター側の問題というよりも、「ガンダム」という名前から離れられない制作会社「サンライズ」側の事情があるようです。「ガンダム」という名前が、あまりにも大きくなり過ぎたのかもしれません。

 ファーストガンダムをはじめとする「宇宙世紀」では、ニュータイプとオールドタイプとの闘いが描かれました。同じように『SEED』では、コーディネイターとナチュラルとが終わりなき抗争を続けています。ガンダムのファンが「宇宙世紀」の支持派とそうでない派とに分断されている状況も、皮肉めいたものを感じてしまいます。

 どうすれば人類は争いをやめることができるのかが、『SEED』の大きなテーマとなっています。劇場版『SEED』が、どんな回答を用意しているのか気になるところです。

(長野辰次)

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