少年少女が熱狂した『ドラクエ4コマ』 実家の押し入れにまだある?
1990年4月に第1巻が発行された『ドラゴンクエスト4コママンガ劇場』は、当時小中学生だった子供たちに愛読されました。現在は絶版となり、入手は困難。「懐かしい」「もう一度読みたい」という声が、現在でもたびたびあがっています。
「友達と回し読みした」少年少女が熱狂した『ドラクエ4コマ』
『ドラゴンクエスト4コママンガ劇場(以下、ドラクエ4コマ)』は1990年4月にエニックス(現:スクウェア・エニックス)から第1巻が発行されました。RPG『ドラゴンクエスト』シリーズを題材にし、複数名の漫画家による作品をまとめたコミックスは、後にさまざまな出版社から多数発行される「ゲームアンソロジーコミック」の先駆けとも呼べる存在です。
『ドラクエ4コマ』は高い人気を誇り、「月刊少年ガンガン」が発行されるきっかけのひとつともなりました。「月刊少年ガンガン」でも『ドラクエ4コマ』は連載され、掲載作品は『ドラクエ4コマ ガンガン編』としてコミックスも発行されています。また、読者投稿の企画『ドラクエ4コマクラブ』にも多くのファンが作品を投稿。多くのプロ作家を輩出することになります。
主な読者層は、発行当時に小中学生だった世代です。現在でもネット上ではたびたび思い出が語られ「学校でこっそり貸し借りした」「友達の家で夢中で読んだ」などの声が聞かれます。
『ドラクエ4コマ』シリーズは続々と発行され、エニックス社の『スターオーシャン』や任天堂の『スーパーマリオ』『ファイアーエムブレム』、ナムコの『テイルズ』シリーズなど、他社のゲームを含めた多数のタイトルにも派生。お小遣いで、欲しいコミックスがすべて買えなかった少年少女時代を象徴する思い出といえるでしょう。
現在は入手困難 実家の押入れに残っている?
『ドラクエ4コマ』が人気を博した同時期に、複数の出版社から同様の形式のコミックスが多数発行されました。ですが、当時の子供たちが愛読したのはエニックスの『4コママンガ劇場』シリーズ。『4コママンガ劇場』は、作家の個性が際立ち、あとがきにあたる「楽屋裏」で語られるマンガ制作の裏話も人気でした。
読者投稿の企画を経てデビューした作家陣に対して、読者は親しみを深く持ちました。「楽屋裏」で、作家陣がファンレターへの感謝の気持ちをたびたび語っていたことからも読み取れます。また、「ネタ出しがつらかった」「何十本もボツにされた」という作家のコメントがあり、他社に比べて高いクオリティを求められていたのも、飛び抜けた人気を保った理由でしょう。
子供たちの間で人気を博した『ドラクエ4コマ』ですが、現在では絶版となりました。近年、『ドラクエ』シリーズの新作を題材にした『4コマ劇場』がスクウェア・エニックスから発行されましたが、作家陣の入れ替わりもあり、当時のファンとの相性はいまひとつであった様子。
ネット上では「懐かしい『ドラクエ4コマ』をまた読みたい」という声があがっていますが、現在では古書店やオークションなどでしか入手ができない状況です。年末年始に帰省する方は、実家の押入れや納戸を探してみてはいかがでしょうか。思わぬ宝物が見つかるかもしれません。
【ドラクエ4コマ作家にインタビュー】
・石田和明先生
ファン熱狂、根強い人気の『ドラクエ4コマ』 黎明期支えた石田和明氏が当時を語る
(マグミクス編集部)
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