クラスの話題は『ドラクエ2』一色! 「ジャンプ」も後押しした熱狂
1987年1月26日、ファミコン用ソフト『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』が発売しました。「週刊少年ジャンプ」も後押した熱狂ぶりは、小学生たちの話題が『ドラクエII』一色になってしまうほど。当時の思い出を振り返ります。
『ドラクエII』と「週刊少年ジャンプ」
1987年1月26日にエニックス(現:スクウェア・エニックス)から発売されたファミリーコンピュータ版『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』(以下、ドラクエII)は、前作『ドラゴンクエスト』の150万本を超える240万本を売り上げ、『ドラゴンクエスト』シリーズを国民的ゲームの地位に押し上げました。当時を体験したライターの早川清一朗さんが、『ドラクエII』を取り巻いていた強烈な熱気について語ります。
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『ドラクエII』発売直前の熱気は、当時小学生の筆者が初めて体験した、強烈なものでした。クラスの話題は『ドラクエII』一色。予約できているクラスメイトはうれしそうに発売を心待ちにし、予約できていないクラスメイトは不安そうな顔を浮かべていました。
なぜ、『ドラクエII』が発売前から小学生の心をつかんでいたのか。その理由は「週刊少年ジャンプ」に毎週のように掲載されていた、期待をあおる特集記事の数々にありました。
「週刊少年ジャンプ」は今でも『ONE PIECE』や『鬼滅の刃』など多数の人気作品を抱える週刊少年誌ではありますが、1985年から1986年にかけての勢いは、日本マンガの歴史上、最高のものと言っても間違いないラインナップが揃っていました。
1986年1-2合併号の連載作品を見てみると、『北斗の拳』『シティーハンター』『ドラゴンボール』『キン肉マン』『キャプテン翼』など今でも新作が続々と作られている作品がずらりと並んでいます。『聖闘士星矢』はちょうどこの号から連載が開始され、他にも『きまぐれオレンジロード』や『ハイスクール!奇面組』『銀牙 -流れ星 銀-』『こちら葛飾区亀有公園前派出所』『魁!!男塾』など、数々の名作が掲載されていました。
当然、子供たちは「週刊少年ジャンプ」を奪い合うようにして読んでいました。会話の話題を提供してくれるコミュニケーションツールにして様々な知識や情報を教えてくれる教科書でもあった「週刊少年ジャンプ」は、娯楽を超えた重要な存在と化していたのです。
そんな「週刊少年ジャンプ」に掲載された『ドラクエII』の事前情報は、当然のごとく子供の目に留まります。キャラクターデザインは前作に引き続き、『ドラゴンボール』の鳥山明氏。ローレシアの王子、サマルトリアの王子、ムーンブルクの姫の3人パーティであることも明かされており、期待は膨らむばかり。発売日が1月26日なので、お年玉を取っておけば購入に支障はありません。
発売日はまだか、まだか。ひたすらにそう念じながらジャンプの特集記事を何度も眺める日々が続き……ついにその日はやって来たのです。