なぜ今? 伊で発表『ジーグ対グレンダイザー』 実は半世紀前にも「幻の企画」が!
イタリアで発表された『鋼鉄ジーグ対UFOロボ グレンダイザー』。ともに半世紀ほど前のロボットアニメですが、海外ではいまだに熱く支持されている作品です。実はこの夢の共演は、日本でも企画されていたことがありました。
海外で「グレンダイザー」と「鋼鉄ジーグ」が熱いワケ
日本では1975年にTV放送が始まったロボットアニメの『UFOロボ グレンダイザー』と『鋼鉄ジーグ』は、国内でも人気のあった作品でしたが、海外での評価はともに日本以上のものでした。放送から約半世紀の2024年現在、この2作品に熱い注目が集まっています。
なぜならば先日、イタリアで『鋼鉄ジーグ対UFOロボ グレンダイザー(原題は『JEEG CONTRO GOLDRAKE』)』というタイトルのアニメコミック作品(アニメのグラフィックで描くマンガスタイルのコンテンツ)が、本年2024年に永井豪先生とダイナミック企画の承認のもと、制作されるという発表があったからでした。
日本のファンには「なぜ今?」と思う人も少なくないでしょう。これは海外での両作品の人気が日本人の考えている以上のものだからです。そのことについて順を追って説明しましょう。
『グレンダイザー』の海外での人気は知っている人も多いことと思います。フランスでは『Goldorak(ゴルドラック)』というタイトルで放送され、視聴率100%を記録し、世界のテレビを変えた50作品のひとつとして選ばれたこともありました。
その人気は中東にも広がり、サウジアラビアではほぼ設定と同じ全高(33.7m)で造られた「グレンダイザー」の立像が建造され、世界最大の架空キャラクターの金属製彫刻としてギネス世界記録に認定されています。
こうした人気から、海外資本の後押しもあって、リブート作品となるTVアニメ『グレンダイザーU』が本年2024年7月から国内で放送予定となりました。こういった海外からの熱い注目から比べると、日本国内での評判はそれほど高くないのかもしれません。
一方の『鋼鉄ジーグ』も海外では人気の高い作品です。特にイタリアでは、日本版オープニングテーマが、自動車会社であるイタリア・ルノーのCMに使われたそうです。
さらに2016年には『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』という、『鋼鉄ジーグ』が物語の重要な要素となった映画が公開されました。この映画はイタリアのアカデミー賞ともいえる「ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞」で新人監督賞、主演/助演男女優賞など合計でその年最多の7部門を受賞しています。
このイタリアでは『グレンダイザー』も人気だったことから、『鋼鉄ジーグ』とのクロスオーバー作品が企画されたのでしょう。発表されたポスターは当時のアニメそのままで、制作者側のアニメ作品に対する高いリスペクトと愛を感じざるを得ません。
これほどの作品が半世紀近く経った2024年に観られることになるとは、海外の人たちの熱意には感服します。筆者と同じ「東映まんがまつり」で、「マジンガー」や「ゲッターロボ」のクロスオーバー作品を観た世代には感激もひとしおのことでしょう。
もっとも、実はこの『グレンダイザー』と『鋼鉄ジーグ』の共演は、当時の東映まんがまつりで企画されていたことがありました。『UFOロボ グレンダイザー対鋼鉄ジーグ』という幻の企画があったのです。おそらく今度のイタリア版とは関係ないと思いますが、その内容について触れていきましょう。