電子コミックをさらに盛り上げる仕組みとは? 大手サイト「コミックシーモア」に聞く
みんなで一緒に作る「ネクストブレイク」作品

「登場人物のキャラクター性がよくわかるように、アップの絵が多めですね。電子書籍サイトの場合、タイトルはどこもテキストで表示されます。タイトル自体でそそられるようにキャッチーに。逆に、ロゴは控えめにしています」(キム編集長)
単に配信されているコンテンツの数が多いだけでは、読者は何を読めばいいのかわからなくなってしまいます。数を揃えた上で、入り口を潤沢に用意し、個別の作品の引きを強くすることで興味をかき立てるというわけです。加えて、オリジナルコミックを展開する上で新人作家の「受け皿」が広いのも、電子書籍プラットフォームならではの強みです。

コミティアやコミケなどのイベントや、pixivなどのSNSでも声をかけ、新人作家の開拓をする一方、多数の出版社が参加する「みんなが選ぶ!! 電子コミック大賞」を2017年から毎年開催。これから「電子でヒットしそうなコミック」を出版社から募り、読者が実際に読んで投票することで各部門の賞を選出しています。
「『電子コミック大賞』はシーモア独自の取り組みで、ネクストブレイクしそうなマンガを出版社と読者のみんなで盛り上げていく賞です。投票期間中はエントリー作品が全て1巻まで無料で読めたり、「電子コミック大賞アンバサダー」として電子コミック大賞を紹介してくれた人気声優のサイン入りグッズなどプレゼントしたりしています(プロモーション・永田さん)
「コミックシーモア」のサイトに並ぶ作品を眺めると、読書欲がむくむくと目を覚まし、あれもこれもと気になってしまいます。多様な「入り口」や「買い方」があり、サイトオリジナル作品も次々と生まれる電子コミックは、根っからのマンガ好きも、気軽に読んでみたい人も、まだまだ未知の出会いがあることを教えてくれる奥深い世界なのです。
(川俣綾加)