「堀川くん」だけじゃない、『サザエさん』のトラウマ回 カツオに恐怖の手紙が…?
50年以上放送が続く『サザエさん』には時折お茶の間を恐怖で震撼させるトラウマエピソードが紛れ込んでいます。そんな恐怖のエピソードを3つあげていきます。
サザエが失踪? 恐怖のBGM
国民的アニメ『サザエさん』は、「サザエ」や「カツオ」など磯野家と近所の人びとが織りなす、日常のほのぼのとしたエピソードを放送し続けてきました。しかし、55年も放送し続けていると、時に突拍子もないエピソードが紛れ込み、うっかり見てしまった視聴者にトラウマを植え付けてしまうことがあります。あらためて衝撃のエピソードを振り返ってみましょう。
●「こたつ依存症」
ネットでよく話題になる『サザエさん』定番のトラウマ回といえば、2007年1月21日に放送された「こたつ依存症」です。木枯らしが吹く寒い冬の日、カツオやサザエたちがこたつから離れられない様子を描いています。
途中まではいつものようなほのぼのとした展開でしたが、終盤に異変が生じます。真夜中、波平はふとんに入っていますが、まだ寒いようで震えが止まりません。「マスオ」と「タラオ」はふたりで、カツオと「ワカメ」もそれぞれの部屋で眠っていました。暗くなった居間のこたつからは「タマ」が出てきて、くしゃみをします。すると、謎のチャイムが鳴り、サザエさん一家が仲良くこたつに入って団らんしている1枚絵になるのです。
夜のシーンは、ずっと雨だれのようなBGMが続くのも不気味ですが、何より主人公のサザエが映らず、マスオとタラオだけが並んで寝ているのが不穏だと話題になりました。なぜマスオとタラオの横にサザエがいなかったのは謎ですが、一風変わった演出が「トラウマ」と言われるようになったエピソードです。
●「カツオ真夏の夜の夢」
1995年7月16日に放送された「カツオ真夏の夜の夢」は、正真正銘のホラー回です。林間学校で山へやってきたカツオが朝、目を覚まして、霧たちこめるなか、テントから出ていくと、見知らぬ子供たちと、引率している先生と出会います。彼らはみんなで「すいとん」を食べている最中でした。
男子はランニング姿、女子はモンペを履いています。彼らはどうやら戦時中の子供たちのようです。どこか波平に似た風貌の先生は、カツオにすいとんを振る舞い、古いカメラでカツオの写真を撮ります。しかし、これはすべてカツオの夢でした。
しばらくして、カツオ宛に手紙が届きます。封を切ると、中にはあのとき撮られたカツオの白黒写真が入っていました。あれは夢だったはずなのに……。
カツオが出会った子供の正体は分かりません。すいとんを夢中で食べていたので、戦時中に餓えで苦しんで死んでしまった子供が霊になって現れたのかもしれません。しかも、それが単なる夢や幻ではなく、本物の写真がカツオに送られてきたのも意味深です。TVの前で、背筋がゾッとした視聴者の子供たちも多かったのではないでしょうか。
●「うちの座敷わらし」
最後は2002年7月21日に放送された「うちの座敷わらし」です。タラオが座敷わらしの絵本を読んだことがきっかけで、磯野家に怪奇現象が起こり、ついに座敷わらしが姿を現すというエピソードでした。
放映当時、『サザエさん』らしからぬホラー演出に震えた子供もいたという証言がありますが、そこは『サザエさん』らしくしっかりとオチがついたそうです。
8000話以上もある『サザエさん』には、このように不穏かつ不気味な演出が施されたエピソードがまだいくつも眠っていると思われます。みなさんの記憶の底にある『サザエさん』のトラウマエピソードを語り合うのも、また楽しいのではないでしょうか。
(大山くまお)