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大胆な“どんでん返し”に衝撃走る… 「最終回」が物議を醸した名作マンガ3選

名作と言われるマンガのなかには、最終回で予想外の展開が描かれたことで「大荒れ」してしまった作品も数えきれないほどあります。なぜ読者たちは、その結末を受け入れることができなかったのか……。物議を醸した最終回の数々を振り返ってみましょう。

マンガの常識を打ち破った「妄想オチ」

画像は『東京大学物語』1巻 著:江川達也(小学館)
画像は『東京大学物語』1巻 著:江川達也(小学館)

 マンガを読み始めると、「この話はどんな風に終わるのだろう」とワクワクするものです。しかし、そうして期待のハードルが高くなりすぎるためか、いざ最終回を迎えると「思っていたのと違った」と賛否両論が巻き起こってしまうこともあります。

 物議を醸す最終回としてよく挙げられる展開といえば、やはり「夢オチ」や「妄想オチ」でしょう。すべてが誰かの夢や妄想のなかの出来事だったと判明する終わり方で、江川達也先生の『東京大学物語』が代表格とされています。

 同作は「村上直樹」と「水野遥」の高校生カップルが東大を目指すことから始まるラブストーリーで、最終回ではふたりが結ばれてハッピーエンドを迎えます。その後結婚して子宝にも恵まれ、やがて年老いた直樹は病院のベッドで遥に最期を看取られるのでした。

 しかし、ここで衝撃的な事実が明かされます。実は今までのお話は、孤独な老人である直樹が死ぬ前に見た妄想だったというのです。さらには「孤独な老人の直樹」というのが高校生の直樹の妄想だった、この高校生の直樹も小学生の女の子である水野遥の妄想だった……という具合に「妄想オチ」が無限に連鎖していきます。

 1992年から2001年まで約10年にわたって連載した物語を最後にちゃぶ台返しするという作者の大胆さは、今後も伝説として語り継がれることでしょう。

 また、宇仁田ゆみ先生の『うさぎドロップ』は最終回で読者の予想を裏切るような展開が描かれたことで、賛否を巻き起こしました。

 同作はアラサーの独身男性「河地大吉」(ダイキチ)が、祖父の隠し子である6歳の少女「鹿賀りん」を引き取り、共同生活を始めるというストーリーです。突然、父親役になって困惑するダイキチが、悪戦苦闘しながらりんと向き合っていく姿が描かれており、良質な疑似親子モノとして人気を博しました。

 そして第2部では時間が飛び、16歳となったりんが登場しますが、問題はクライマックスの展開でした。最終的にりんがダイキチにプロポーズをして、結ばれるというラブストーリー的な終わり方が待っていたのです。ふたりのことを疑似的な親子関係だと捉えていた読者は、こうした描写に大きなショックを受けてしまったようで、大きな波紋を呼びました。

 ほかにもラブコメ作品の最終回では、「主人公がどのヒロインと結ばれたか」という議論がしばしば巻き起こります。その代表的作品が、河下水希先生の『いちご100%』です。

 同作は、中学3年生の「真中淳平」が「いちごのパンツの女の子」にひと目惚れをし、その正体だと勘違いした「西野つかさ」に告白してOKをもらうことから始まります。そこから本当の「いちごのパンツの女の子」である「東城綾」など、何人ものヒロインが参戦し、キラキラとした恋模様が描かれていきます。

 とはいえ同作は『いちご100%』というタイトルからして、「いちごのパンツの女の子」が重要な意味を持つと考えられていました。すなわちその正体である東城が正ヒロインで、最終的に淳平と結ばれるものだと思われていたのです。しかし最終回ではその予想を裏切り、高校卒業から数年後、大人になった西野が淳平と結ばれるエンディングが待ち受けていました。

 サブヒロインが正ヒロインの座をかっさらうような展開に、拒絶反応を示してしまう読者は多かったようです。しかもその後2017年に『いちご100% EAST SIDE STORY』として12年ぶりの続編が発表されましたが、こちらも「東城派」を成仏させるような物語ではありませんでした。

(ハララ書房)

【画像】あの国民的アイドルも? こちらが実写版『東京大学物語』で主人公「村上直樹」を演じたイケメンたちです(3枚)

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