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「BTTF」3部作はどこまで未来を予見? 主演のマイケル・J・フォックスは今

病気から回復に向かい、再びドラマ出演へ

マイケル・J・フォックスの著書『ラッキーマン』(ソフトバンククリエイティブ)。パーキンソン病との闘いを中心に、自らの人生、家族、仕事への思いを綴る
マイケル・J・フォックスの著書『ラッキーマン』(ソフトバンククリエイティブ)。パーキンソン病との闘いを中心に、自らの人生、家族、仕事への思いを綴る

 主演のマイケル・J・フォックスは、1961年生まれ。『BTTF』第1作の公開時はすでに24歳でしたが、童顔で親しみやすいキャラもあって、高校生のマーティン役にぴったりでした。TVドラマ『ファミリータイズ』に出演し、すでに米国では人気者でしたが、『BTTF』が大ヒットし、主演映画『ティーン・ウルフ』(1985年)や『摩天楼はバラ色に』(1987年)が次々と公開されました。

 ところが『ドク・ハリウッド』(1991年)の撮影中に、マイケルは若年性パーキンソン病を発症します。手足の動きや顔の表情が不自由になる、神経系の難病です。1998年に病気のことを公表し、TV・映画の第一線から姿を消すことになります。パーキンソン病との闘いを綴った自伝『ラッキーマン』はベストセラーとなり、その売り上げはパーキンソン病の研究を目的とした「マイケル・J・フォックス パーキンソン病リサーチ財団」の運営費に回されています。

 その後、マイケルは2010年、バンクーバー冬季五輪の閉会式に登場し、病気から回復に向かっている元気な姿を披露しました。さらに2017年からは、Netflixで配信中のドラマ『サバイバー 宿命の大統領』第2シーズンで、大統領(キーファー・サザーランド)を聴聞する辣腕弁護士役で独特の存在感を見せています。

笑いのなかに込められた、力強いメッセージ

 1985年から1955年へと時間旅行する『BTTF』第1作では、1981年に就任したロナルド・レーガン大統領は、かつてはパッとしない映画俳優だったことがネタとして使われています。2015年を舞台にした『BTTF』第2作では、マーティン父子の宿敵ビフ(トーマス・F・ウイルソン)がビジネスマンとして大成功を収めることになります。成金趣味の嫌味なビフのモデルとなっているのは、不動産王として名を馳せていた頃のドナルド・トランプ大統領です。まさに「事実は小説(フィクション)よりも奇なり」です。

 他にも映画『ジョーズ』の3Dホログラム映像にマーティンが驚くシーン、未来のマーティンがテレビ電話で会社の上司とテレワークするシーンなど、見事に現実世界を予想してみせています。劇場公開時とは違った楽しみ方が、今回のテレビ放送はできるのではないでしょうか。

 シリーズ完結編となった『BTTF』第3作の舞台は、西部開拓時代です。米国人の気性を象徴する「フロンティアスピリッツ」が育まれた時代を、マーティンは冒険します。そして、冒頭で紹介した「未来は自分で切り開くもの」という言葉を、マーティンは年上の親友・ドクから贈られるのです。過去は変えることができなくても、未来は自分次第で変えることができる。『BTTF』3部作には、笑いのなかに明るく、力強いメッセージが込められています。パーキンソン病と闘うマイケルにとっても、「未来は自分で切り開くもの」という言葉は力強い心の支えになっているのではないでしょうか。

(長野辰次)

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