酷評された実写版だけど、この人は良かったじゃん!再現度えぐかったキャラ
かつて酷評もされたマンガの実写映画化作品から、それでも「この人は演技、存在感、原作の再現度も含めて本当に素晴らしかった」と思える3人を紹介します。本編には難点は確かに散見されるものの、作品そのものの美点も決して少なくなかったと思うのです。
主人公以外の「重要な役」の完璧な再現も

マンガの実写映画作品は2次元を3次元に落とし込む難しさに直面することが多く酷評されてしまうこともままありますが、そういった作品でも「この人だけでも見てよかったと思えるキャラクター」がいることもたくさんあります。不評が寄せられた理由をまとめつつ、「この俳優の演技や存在感や原作の再現度は素晴らしかった!」と心から思えた3作品および3人を振り返りましょう。
●『ルパン三世』(2014年)ルパン役の小栗旬さん
ご存じモンキー・パンチさんのマンガを実写映画化した2014年の『ルパン三世』は、キャスティングが発表された時点では賛否両論があり、映画本編もかなり不評でした。特に脚本の問題が大きく、物語の軸があやふやでメリハリに欠けており、ルパン一味以外のゲストキャラクターが多すぎるほか、アクションのシチュエーションそれぞれに説得力がとぼしく、全編にわたってツッコミどころが満載です。
ただ、肝心な「ルパン」役の小栗旬さんはかなり好評でした。かもし出される軽妙洒脱な雰囲気や、抑揚のある口調は「まさにルパン」といえるものです。劇場公開時にはほとんどの劇場で日本語吹き替え版が上映されましたが、元は小栗さんはじめキャスト陣が英語でのセリフに挑戦していることも含め、心から称賛したくなります。
小栗さんは当時のインタビューで、「ルパンは無国籍で個性的なキャラクターで、いわば翻訳劇みたいな感じだった」「ルパンをつくる上で、これまで自分がやってきた翻訳劇が役立ったと思うんです」「普通の生活をしていてウインクなんてしないじゃないですか。だけどそれができてしまうのも、これまでの芝居の積み重ねがあったからなのかな」と振り返っていました。
なるほどルパンという「いかにもマンガ、アニメ」らしい仕草をするキャラに説得力を持たせられたのは、いい意味での「舞台らしい」セリフ回しや演技をこなしてきた小栗さんの経験があってこそなのでしょう。
また、小栗さん以外にも、黒木メイサさんの「峰不二子」のセクシーさ、綾野剛さんの「石川五右衛門」の神経質っぽさ、玉山鉄二さんの「次元大介」のハードボイルドさなど、やはり俳優陣が「ちゃんとルパン一味にハマっている」ことが何よりの美点でしょう。浅野忠信さんの「銭形警部」がルパンに「(黒幕の悪事を暴いたら)犯罪歴をクリーンにしてやるよ」と取引を持ちかけるのはびっくりしましたが、配役は的確だったと思います。
『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』:虹村億泰役の新田真剣佑さん
こちらもいわずと知れた荒木飛呂彦さんの人気マンガ『ジョジョの奇妙な冒険』、第4部の実写版です。キャスティングの発表時には、主人公「東方仗助」の山崎賢人さんをはじめとして厳しい声も寄せられましたが、実際の本編ではなかなか好評でした。
山崎さんは原作の仗助に比べるとやや身体の線が細い印象もあるものの、不良高校生の「根の優しさ」を感じられる好演ですし、「広瀬康一」役の神木隆之介さん、「山岸由花子」役の小松菜奈さん、「虹村形兆」役の岡田将生さん、「片桐安十郎」役の山田孝之さん、「空条承太郎」役の伊勢谷友介さんらは、原作のイメージにピッタリでした。
そのなかでも特に称賛が集まったのは、形兆の弟「虹村億泰」役の新田真剣佑さんです。それ以前では実写映画『ちはやふる』の「綿谷新」役で穏やかな少年を演じていた真剣佑さんは、本作では打って変わって粗暴で「おバカ」、それと表裏一体の純粋さでいっぱいな億泰に見事にハマっていました。「怒号」の飛ばし方、一方で不安を抱えている心情の表現など、原作の億泰の「再現」そのものに大きな感動があります。
真剣佑さんは億泰のビジュアルにかなりこだわったようで、後ろ髪の飛び出ている部分以外は全部地毛で、かなりブリーチをかけたがゆえに肌の皮が剥けてしまったそうです。全身全霊で億泰を演じ切るという気合いを感じます。
本編では、原作を忠実に再現しすぎた衣装にコスプレ感がある、原作ファン向けの小ネタが未読の人には意味が分からない、同じ説明が繰り返される場面もありテンポがよくない、主な敵がふたりしか出てこず続編ありきの思わせぶりな伏線が多すぎる……といった難点も見受けられるものの、「スタンド」バトルのクオリティーや、スペインのシッチェスでのロケ撮影が美しく、なるほど原作の舞台の「杜王町」に近いと思える点などから、「酷評されるほどひどくない」といった擁護意見もとても多い作品です。
『約束のネバーランド』(2020年):イザベラ役の北川景子さん
こちらもキャスティングの発表の時点で、不評を買ってしまった作品です。こちらはやはり劇中の「『鬼』に食べられる運命の孤児たちが『出荷』される年齢が、原作の12歳から16歳に引き上げられた」という改変が同時に明かされたことも大きいでしょう。白井カイウさんと出水ぽすかさんの原作マンガでは、頭脳も運動能力も「天才」ではありながらも、「精神的にはまだまだ子供」でもある主人公たちの年齢こそが重要と思える設定だったので、批判が出るのももっともです。
また、実際の本編では主人公の3人の少年少女が「同い年には見えない」ことが問題だと思いました。2019年夏の撮影当時では「ノーマン」役の板垣李光人さんは17歳、「レイ」役の城桧吏さんは12~13歳、一方で主人公「エマ」役の浜辺美波さんは18~19歳で、特に城さんだけがかなり幼く見えてしまいます。劇中で浜辺さんに「あなたと同じ15歳!」という、観客に「同い年だよ!納得してね!」と訴えかけるようなセリフを言わせてしまうのも、逆効果だったのではないでしょうか。
その反面、演技や原作の再現も含めて称賛されているのは、「イザベラ」役の北川景子さんです。表向きにはみんなの優しい孤児院の「ママ」でありながら、「鬼の手下」であることを隠している恐ろしさが垣間見え、さらに自身の倫理観や子供たちへの感情も相まっての葛藤など、その感情表現そのものに感動がありました。
北川さんはオリコンニュースのインタビューで、「世界観を漫画のクオリティを損なうことなく実写化するというのは、不可能なのではないかという思いがありました」と告白しながらも、「イザベラの年齢設定やキャラクター含め原作の設定を一つも変えないという確約をいただけましたので、思い切ってお受けしようと決めました」とも告白しています。原作のイザベラというキャラクターを「守った」ことも、この役の成功の理由でしょう。他にも、渡辺直美さん演じるシスター「クローネ」も、「見いつけた」のシーンの怖さなど好評でした。
※山崎賢人さんの「崎」は「たつさき」が正式表記
(ヒナタカ)
