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『もののけ姫』アシタカの価値観を変えたタタラ場の女衆 歌に現れる覚悟に驚く

2025年8月29日の金曜ロードショーにて、スタジオジブリ作品『もののけ姫』が放送されます。その劇中でタタラ場の女性たちが歌う「タタラうた-」は、物語中に登場する女性たちの覚悟が感じられる名曲です。彼女たちの生き様は、主人公の考え方にも大きな影響を与えました。

劇中歌から分かるタタラ場の女たちの覚悟

タタラ場の女性たち。『もののけ姫』静止画より (C)1997 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli, ND
タタラ場の女性たち。『もののけ姫』静止画より (C)1997 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli, ND

 2025年8月29日の「金曜ロードショー」にて放送されるスタジオジブリ作品『もののけ姫』は、数々の美しい映像と劇中曲で観る人びとを夢中にさせます。そのなかで、歌詞のつく挿入歌として流れるのが「タタラ踏む女達-エボシ タタラうた-(以下、タタラうた)」です。タタリ神の呪いを受け、それを解く道を探しに故郷を離れた主人公「アシタカ」は、長い旅路の果てにタタラ場へとたどり着きます。

「まるで城」とアシタカが形容するほどものものしい雰囲気のタタラ場は、砂鉄を沸かして鉄を生み出す製鉄所でもあります。製鉄に必要となるのは、大量の砂鉄山の木々であり、タタラ場の営みは自然を大きく破壊します。さらに、ここで生み出された鉄を用いた石火矢(いしびや)が猪神のナゴの守(かみ)に致命傷を与え、タタリ神としてアシタカに呪いを与えることとなりました。

 多くの悲しみや憎しみを生み出しながら、国崩しを推し進めようとするタタラ場の指導者「エボシ御前(ごぜん)」にアシタカは当初、明確な敵意を示します。そんな彼が、タタラ場の女たちと触れ合うことで認識を変える瞬間があります。アシタカはタタラ場にて、女衆たちが歌う『タタラうた』を聞きます。この曲の歌詞は、次の通りです。

ひとつふたつは 赤子もふむが みっつよっつは
鬼も泣く泣く  タタラおんなは こがねのなさけ
とけて流れりゃ 刃にかわる

 彼女たちが作中で踏んでいる「踏みふいご」は、炉に風を送り込むことで砂鉄を溶かすのに十分な火力を生み出します。少しでも踏むのをサボれば、すぐに火力が落ちて十分な鉄を生み出すことができません。一度二度踏むなら簡単でも、踏み続けるのは鬼でさえ涙を流す。それほどの重労働に、タタラ場の女衆は従事しているのです。

 実際、サンと山犬がタタラ場を襲撃した際も、彼女たちはタタラ場の火を落とさないよう仕事を続けました。アシタカが「タタラ場での暮らしはきついか?」と尋ねても、女衆を束ねるトキは、「下界(げかい)と比べりゃずっといい」と即答します。その強い覚悟こそが、「タタラおんなはこがねのなさけ」という歌詞に表れているのでしょう。

 彼女たちとともにトキの返答を聞いたアシタカは、静かにうなずくように「そうか」とだけつぶやきます。その表情には、エボシに共感し、ともに生きようとする人びとの、自分の価値観と異なるあり方を受け入れようとする姿が感じられました。

(サトートモロー)

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