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『ばけばけ』小泉八雲との共通点が多すぎる、鳥取出身「妖怪マンガの巨匠」 感受性豊かな「妻」まで…?

高石あかりさん演じる主人公トキの怪談話が始まり、『ばけばけ』が大いに盛り上がっています。トキが最初にヘブン先生に語る怪談は、鳥取県に言い伝わる哀しいお話「鳥取の布団」です。そして鳥取といえば、漫画家・水木しげる氏の出身地でもあります。ともに妖怪好きで知られる、小泉八雲と水木しげる氏の共通点を調べてみました。

鬼太郎誕生エピソードの元にもなった「怪談話」

のちに小泉八雲となるラフカディオ・ハーンと、水木しげるには、多くの共通点が? 画像は「別冊太陽 小泉八雲: 日本の霊性を求めて」(平凡社)
のちに小泉八雲となるラフカディオ・ハーンと、水木しげるには、多くの共通点が? 画像は「別冊太陽 小泉八雲: 日本の霊性を求めて」(平凡社)

 NHK連続テレビ小説『ばけばけ』は、小泉八雲とその妻・セツをモデルにしたコメディタッチの新感覚「朝ドラ」として好評放送中です。

 明治時代、島根県松江市にやってきた英語教師のヘブン先生(演:トミー・バストウ)は、大雄寺で「水飴を買う女」の言い伝えを聞き、大感激します。ヘブン先生が怪談好きなことを知り、同じく怪談好きなトキ(演:高石あかり)との心の距離はグッと縮むことになりそうです。

 ヘブン先生宅で女中として働くトキも、ヘブン先生に怪談話をすることになり、「鳥取の布団」という、島根県のお隣、鳥取県に伝わる怪談話を披露します。そして鳥取といえば、妖怪マンガの第一人者だった水木しげる氏の出身地です。

 水木しげる氏の代表作『ゲゲゲの鬼太郎』の鬼太郎誕生エピソードは、「水飴を買う女」がベースになっていることは『ゲゲゲ』ファンならご存知でしょう。小泉八雲と水木しげる氏は、思いのほか共通点があったようです。

「のんのんばあ」から影響を受けた水木しげる

 小泉八雲の曾孫にあたる小泉凡氏(小泉八雲記念館館長)が監修を務めた『小泉八雲と水木しげるに学ぶ 異界の歩き方』(マイクロマガジン社)が2025年9月に出版されました。この本を読むと、八雲と水木氏との共通点がよく分かります。

 八雲ことラフカディオ・ハーンは1850年のギリシャ生まれで、1904年4月に『怪談』を出版し、同年9月に54歳で亡くなっています。水木氏は1922年生まれで、松江と同じ島根半島にある鳥取県境港市で少年期を過ごしています。

 生まれた時代も、育った境遇も異なる八雲と水木氏ですが、自然を愛し、自然物に宿る精霊の存在を信じて育っています。

 両親とは幼いころに生き別れ、アイルランドで孤独な幼少期を送った八雲ですが、育ての親となった大叔母の雇った乳母から、アイルランドに伝わる妖精たちの物語を聞くことができました。一方の水木氏は、近所に暮らす「のんのんばあ」から地元の言い伝えをいろいろと聞いています。

 八雲がセツが出会ったのは41歳のとき。水木氏が島根県安城生まれの武良布枝さんと見合い結婚したのは39歳のときでした。セツは八雲の『怪談』執筆を題材集めと口述という形でアシストし、布枝さんは水木氏との極貧生活を『ゲゲゲの女房』としてエッセイ化。2010年に朝ドラで放送され、好評を博しています。

 八雲も、水木氏も、感受性豊かな女性たちから多大な影響を受けているという点でも、共通しています。

【画像】「えっ、夫婦で並べても似てる」「同じだ…」これが、小泉八雲、水木しげるとそれぞれの妻の比較です(4枚)

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長野辰次

フリーライター。映画、アニメ、小説、マンガなどのレビューや作家インタビューを中心に、「キネマ旬報」「映画秘宝」などに執筆。現在公開中の『八犬伝』(キノフィルムズ配給)の劇場パンフレットなどにもレビューを寄稿している。

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