熊本にも泊まりに来てたの? 『ばけばけ』とは違うヘブンと錦織「モデルたち」の旅行での再会とは
『ばけばけ』第23週112話では、久しぶりにヘブンと錦織が再会したものの、彼は病気が悪化し、ガリガリにやせ細ってしまっていました。
まだ息子も産まれる前の楽しそうな旅行

連続テレビ小説『ばけばけ』第23週112話では、「レフカダ・ヘブン(演:トミー・バストウ)」と、親友「錦織友一(演:吉沢亮)」が1891年11月以来に再会しました。病気によってガリガリにやせ細った錦織を見て、ヘブンは大きなショックを受けています。モデルのラフカディオ・ハーン(小泉八雲)と西田千太郎も、ハーンが松江を離れた1年後に会っているのですが、『ばけばけ』とはだいぶ違う形の再会だったそうです。
112話の冒頭では、錦織がヘブンと熊本で同居している弟「丈(演:杉田雷麟)」からの手紙を読む場面がありました。その手紙の日付の部分には、明治26年(1893年)1月15日と書いてあったため、ヘブンが「松野トキ(演:高石あかり)」たちと松江に戻ってきたのは、1893年2月頃と思われます。
『ばけばけ』95話の最後では、錦織は熊本へ発つヘブンたちの見送りに現れず、最後には喀血する場面も描かれていました。それから1年3か月ほどで別人のようになってしまった錦織は、ヘブンとの握手も拒んでいます。モデルの西田は結核を患って1897年3月に34歳の若さで亡くなっており、錦織はヘブンに病気を移さないようにしたのかもしれません。
西田はハーンが松江に赴任した1890年夏頃にはすでに闘病生活を送っており、ハーンは熊本に行ってからも手紙で彼の体調を気遣っていました。西田も錦織のようにハーンの見送りに行けなかったそうですが、しばらくして回復したそうで、1892年1月のハーンへの手紙では、職場に復帰し新年の挨拶回りにも行けた喜びを語っています。
西田の体調が安定した同年の7月、ハーンは松江には帰らなかったものの、妻・セツと関西や山陰、隠岐への長期旅行に行きました。一方の西田は、同時期に九州へ旅行し、熊本市の手取本町にあったハーンの家を入れ違いで訪ね、宿泊しています。
ふたりは旅行の最中や前後でも手紙のやり取りをしており、西田が医者から療養のために夏は海の近くで過ごすように言われたことや、ハーンが西田が自分の家に泊まってくれたことを非常に喜んでいる様子も確認できました。
そして8月、西田が松江に戻った後、ふたりは手紙でも語っていた島根半島の東端の地の名所・美保関で再会します。ハーンは西田との再会を喜び、また別れることを惜しんだようで、西田の日記には
「午後帰松ノ事ニ決ス。ヘルン氏強テ留メシモ気ノ毒ナガラ断然之ヲ辞セリ。(中略)ヘルン氏強テ予ヲ客待ストテ宿賃ヲ払ハシメズ」(1892年8月29日付)
と書かれていました。また、ハーンからも西田へ「あなたが(松江へ)帰られた後、われわれは本当に寂しく思いました」という手紙が送られています。
その4年後、1896年2月に日本に帰化し「小泉八雲」となったハーンは、同年6月にセツや長男・一雄(1893年11月生まれ)を伴って松江に帰省し、西田と再会します。松江滞在の最後の1週間は、ハーンたち一家と西田で、かつて結婚を誓った出雲大社のある杵築へ行き、穏やかな時を過ごしたそうです。これがハーンと西田が一緒に過ごした、最後の時間となりました。
一方『ばけばけ』では、1893年の段階でヘブンたちが松江に戻っていますが、今回の帰省が錦織との最後の再会になってしまうのでしょうか。今後に注目です。
※高石あかりの「高」は「はしごだか」
参考書籍:『八雲の妻 小泉セツの生涯』(潮出版社)、『ラフカディオ・ハーン 西田千太郎 往復書簡』(八雲会)
(マグミクス編集部)