『ルパン三世』のモデルはこの人、ベルモンド! 冒険と美女好きな伊達男を特集上映
ルパンとベルモンドには、つながりがあった

アニメ「ルパン三世』ファンを自称する人に観てほしいのが、『大盗賊』(1961年)です。ルパン三世の祖父であるアルセーヌ・ルパンと関係のある作品です。
「ベルモンドがアクションスターとして売り出したのが『大盗賊』。これは18世紀のフランスに実在した義賊カルトゥーシュこと、ルイ・ドミニク・ブルギニヨンが主人公です。彼をモデルにしてモーリス・ルブランは『怪盗紳士ルパン』を執筆したと言われています。
大泥棒に扮したベルモンドが相棒たちと金貨を盗み出し、美女とのロマンスもあります。これは、もう元祖ルパンと呼んでいい作品です。ちなみに『大盗賊』は日本語吹き替え版がVHSビデオとしてリリースされたことがあり、ベルモンドの声はルパン三世の声でおなじみの山田康雄さんが演じていました」(江戸木純氏)
大掛かりな列車強盗を企む『大頭脳』(1969年)は、コメディタッチの粋な作品。ライバルを演じたデヴィッド・ニーヴンとの駆け引きで魅了します。
「『大頭脳』のおしゃれでコミカルな雰囲気は、TVアニメ『ルパン三世』第1シリーズによく似ています。クライマックスに自由の女神像が登場しますが、TVスペシャル第1作『ルパン三世 バイバイ・リバティ・危機一発!』の脚本家・柏原寛司さんはこのシーンにインスパイアされたそうです」
『カリオストロの城』や『コブラ』にも影響
ベルモンドがスタントマンを演じた『ムッシュとマドモアゼル』(1977年)は、飛行機の翼の上に命綱なしで立ってみせるという命知らずのスタントシーンが大きな見どころです。
「ベルモンド本人も、『これまでやってきたスタントの中でいちばん危険なものだった』と語っています。ラストシーンも注目です。ベルモンドが花嫁を抱くカットがあるのですが、宮崎駿監督の劇場アニメ『ルパン三世 カリオストロの城』(1979年)にもそっくりなカットがあります。
また、ベルモンドは顔が瓜二つなスター俳優とスタントマンとの二役を演じており、ジャッキー・チェン主演作『ツイン・ドラゴン』(1992年)の元ネタとしても楽しめます。映画界の裏側を描いているところは、つかこうへい原作の『蒲田行進曲』(1982年)にも確実に影響を与えています」(江戸木純氏)
他にも、ハードボイルドタッチの『恐怖に襲われた街』(1975年)の宣伝写真は、寺沢武一氏の人気SFマンガ『コブラ』のイメージの源泉のひとつになるなど、ベルモンドは多くのクリエイターたちのインフルエンサーだったそうです。
「ベルモンドは現在87歳。足は少し不自由になったようですが、まだまだ元気です。主演作が日本で久しぶりに上映されることを、とても喜んでいます。無茶なアクションに挑戦しているように見えますが、実は一流のスタントマンたちが事前にやってみせてから、ベルモンドは演じていたんです。一流のスタッフと一流のキャストがそろっていたから、できた作品ばかりなんです」
すべての“カッコいい”の原点。ぜひ、スクリーンで堪能してください。
(長野辰次)





