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手塚治虫の新聞連載作品は「愛らしかった」? 当時の紙面のまま復刻した編集者に聞く

誰でも楽しめる、親しみやすい作品が多かった

1974年から赤旗日曜版で連載された『タイガーランド』。連載時は横長のページ構成で、セリフは手塚治虫自身による手書き文字となっている
1974年から赤旗日曜版で連載された『タイガーランド』。連載時は横長のページ構成で、セリフは手塚治虫自身による手書き文字となっている

ーーメインの作品として収録されている『タイガーランド』と『アバンチュール21』は動物が主要キャラクターとして活躍する作品で、誰もが親しみやすい題材と感じます。

濱田 実は本書、当初は他社から出版する予定でだったのですが、コロナ禍の煽りを受けて企画が宙に浮いてしまいました。さて、どうしたものかと途方に暮れかけたところ、2020年春に手塚先生の初期作品集『手塚治虫アーリーワークス』を出版した888ブックス代表の吉田さんが「それならぜひウチで!」と言って下さり、出版が実現しました。

 888ブックスで出版する決め手になったのが、『タイガーランド』『アバンチュール21』ともに動物キャラクターが活躍する点でした。物語はもちろん、その描線の愛らしさに惹かれたようです。

ーー手塚先生が連載した新聞は、朝日新聞、中日新聞から赤旗日曜版までさまざまですが、作品の内容に各紙の主張や政治的傾向といった影響はあまりなかったのでしょうか?

濱田 読者層や、新聞という限られた紙面での展開は意識されたと思います。何しろ横長の枠内で、コマ運びが通常のスタイルと違いますからね。各紙の主張や政治的傾向に合わせて作風を変化させたというよりも、媒体の変化に対する影響のほうが大きいのではないでしょうか。

 実際、どなたでも普通に楽しめる作品になっていますし、特に赤旗日曜版に連載された作品は、読後に親子の対話が生まれるような、家族で楽しめる内容になっています。

ーーこれまで単行本化されていなかった作品も、今回初めて収録されました。それらのなかで特に注目すべき作品を紹介していただけますでしょうか?

濱田 収録作品はいずれも親しみやすい作品ばかりですが、メインとなる『タイガーランド』と『アバンチュール21』以外ですと、初単行本化の絵物語『どうなるくん』(1965年)、これまでの単行本では抜粋収録だった「さんわこどもしんぶん」版の『ケン一探偵長』(1958年)、近年原画が発見された『少女の友』のマスコットキャラクター、ピコちゃんの原画(1955年)を集めたパートがおすすめです。

 今からこれらの掲載紙を集めようとしても困難なのは間違いないですから、こうやって作品集にまとめられて良かったと実感しています。それにしても、没後30年を経てもなお単行本未収録作品があるという点には、いつも驚かされるばかりです。機会があれば、ほかの埋もれた作品の発掘、出版も実現させたいですね。

(マグミクス編集部)

※『手塚治虫コミックストリップス』は、888ブックス(ハチミツブックス)公式サイトなどで購入受付中です。

(C)手塚プロダクション

【画像】家族で楽しめる作品も…復刻された手塚治虫の新聞連載作品(7枚)

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