『呪術廻戦』設定が難しい…「最強」五条先生ってどれほどスゴイの?
アニメ第2クールも絶賛放送中の『呪術廻戦』。複雑な能力設定が多い本作ですが、なかでも難しいのが五条悟の「無下限呪術」です。アニメでも描かれた漏瑚戦での技を細かく説明しつつ、五条先生のすごさに迫ります。
数学の要素も取り入れた、五条先生の複雑すぎる「無下限呪術」
「週刊少年ジャンプ」で連載中のダークファンタジー作品『呪術廻戦』。シリーズ累計発行部数は3000万部を突破、TVアニメも第2クールが放送中と、驚異的な勢いに乗っている作品です。
タイトル通り「呪術」や「呪力」を用いた戦いが繰り広げられる本作ですが、その設定には芥見下々先生のこだわりが詰まっており、かなり複雑です。なかでも難しいのが最強キャラである五条悟の能力。彼は「無限」を現実に作り出す「無下限呪術」という術式の使い手なのですが、アニメを一度見ただけではどういう理屈なのかよくわからないという方も多いのではないでしょうか。この記事では、特級呪霊・漏瑚(じょうご)との戦闘で明かされた五条先生の能力・強さについて、コミックス版のおまけページに書かれている設定の補足も交えつつ、細かく解説していきます。
●触れることができないバリア
まず、五条先生には攻撃が通用しない、というか触れることができません。これは「無下限呪術」によって身体の周りに「無限」をまとっているためです。
芥見先生によると、「アキレスと亀」と同じイメージ。これを簡単に解説するため、足の速いアキレスという男が、100m先の亀を追いかけることを考えます。アキレスが亀のスタート地点に着いたとき、亀は1mほど進んでいるでしょう。さらにアキレスが追い付こうと1m進んでいる間に、亀は1cm進んでいます。そこからアキレスが1cm進む間に……といったように、この考え方だと、不思議と追い付くことができません。
もちろん現実では成り立たないのですが、五条先生は「無限はね、本来至る所にあるんだよ」「僕の呪術はそれを現実に持ってくるだけ」と話しています。これによって、相手の攻撃は近づけば近づくほど遅くなり、無限に触ることができないという訳です。言ってしまえば“無敵バリア“のようなものなのですが、こだわりの詰まった複雑な設定となっています。
●術式反転「赫」
漏瑚戦では、術式反転「赫(あか)」という技を使用し、指先の小さな赤い光だけで、特級呪霊であるはずの漏瑚をいとも簡単にはじき飛ばしていました。
この技の説明では、数学で習う「無限級数」を説明する必要があります。これは、 “いつまでも続く足し算”のことで、「収束」「発散」というふたつのパターンが存在します。
収束の例: 1/2+1/4+1/8+・・・=1
発散の例: 1+2+3+4+・・・=∞
無限に足していった結果、ある数に収まるのが「収束」、無限大になるのが「発散」です。五条先生は「無限」を現実に持ってくることで、この「収束」「発散」の力を使うことができます。「赫」の場合は「発散」によって、衝撃波のように敵をはじき飛ばすことができる訳です。
また、「術式反転」という言葉がありますが、これは本来「負のエネルギー」である呪力とは逆の「正のエネルギー」を流し込んで発動する方式です。五条先生の場合、普通は「収束」なのを逆転させているということになります。また、この「正のエネルギー」については、マイナスである呪力と呪力を掛け合わせることでプラスにしています。もはやここまでくると、混乱してくるほどの複雑さです。
五条先生の必殺技「無量空処」はどういう理屈?
●領域展開「無量空処」
五条先生の領域展開である「無量空処」は、宇宙のようなビジュアルの空間を広げ、相手を行動不能にしてしまう技です。この領域に入った漏瑚は「何もかも見える!! 全て感じる!! いつまでも情報が完結しない!!」という心の声を発していました。
この技について五条先生は「“知覚”“伝達” 生きるという行為に無限回の作業を矯正する」と説明していました。芥見先生によると、自分の前に「リンゴ、ゴリラ、ラッパ」が並んでいたら、普通は「リンゴ→ゴリラ→ラッパ」と認識することができますが、「無量空処」の場合は手前のリンゴで「リリリリリリリ」となってしまうとのこと。これは正しい解釈か分かりませんが、リンゴの時点で膨大な情報量が流し込まれ、次にたどり着けないといったイメージでしょうか。
漏瑚はなすすべもなくやられていましたが、「大地への恐れ」から生まれた壮大な特級呪霊で、その強さは作中でもトップクラスのはずです。そんな敵を1ダメージも受けずに倒していた訳ですから、五条先生の強さは段違いだということになります。
マンガ版ではさらに別の設定も追加されていますが、漏瑚戦で見せた技の設定を見ていくだけでも、五条先生は並みの術師とは別次元。非常に高度なことをしているということが分かり、その「最強」ぶりにも納得できるのではないでしょうか。
(古永家啓輔)