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集英社のヒットメーカー・林士平さん、新漫画賞「MILLION TAG」で「応援する作家を見つけて」

漫画家が安心して出演できるよう、編集者が前面に立つ

林さんの担当作品のひとつで、大ヒットした『チェンソーマン』第1巻(集英社)。「このマンガがすごい!2021」(宝島社)のオトコ編で1位に選ばれた大ヒット作。 (C)藤本タツキ/集英社
林さんの担当作品のひとつで、大ヒットした『チェンソーマン』第1巻(集英社)。「このマンガがすごい!2021」(宝島社)のオトコ編で1位に選ばれた大ヒット作。 (C)藤本タツキ/集英社

──「MILLION TAG」では編集者と漫画家が一緒に走りながら優勝を目指すことになりますが、漫画家にとってのメリットとはどのようなものがあるのでしょうか。

林 やはり500万円の賞金と知名度でしょう。動画を通じて人が育っていく過程を見ると、ファンになってくださる方がいると思うんです。もちろん最終的にはマンガでファンを増やして行くしかないんですけど、デビューの時点で注目される確率が上がるのは大きなメリットだと思います。

 ただ、肖像権やプライバシーの問題もあると思うので、作家さんは基本的に声や肩越し、手先だけの出演になる予定です。その代わりに自分たち編集者が顔出し出演して、視聴者のご意見を受け止めます。だから作家さんたちには安心して出演して欲しいですし、作家さんたちに余計な心配や不安を抱かせないよう、細心の注意を払ってやっていきたいと思います。

「MILLION TAG」で作家さんにはデビュー作にたどり着いてもらいたいとは思うのですが、勝てなかったとしてもそこで人生が終わるわけではありません。何回でもチャレンジしてもらいたいですし、ここで負けた人が再起していくのも、素敵な物語だと思うんです。

 実際、今は漫画家として活躍されている方に、「実は10年ほど前にお会いしています」と言われて驚いたこともあります(話を聞いてみると、16歳ごろに持ち込みに来ていただいたそうです)。「MILLION TAG」が作家を目指すひとつのきっかけになってくれればいいですね。

──最後に、「MILLION TAG」に興味を持つすべての方へのメッセージをお願いします。

林 マンガが生まれる過程をドキュメンタリー映像として見るのは非常に面白い体験になると思うので、気軽に見て欲しいです。若く、まだヒット作を生み出していない作家さんたちがどう振る舞い、どう苦しんでマンガを描いているか知っていただけると、マンガに対する楽しみ方の幅が広がるのではないかと思います。

 そして、もしできるなら、応援したい作家さんを見つけてあげて欲しいのです。作家はお客さんがいなければぜんぜんご飯が食べられない商売です。作家という生き物は、ほんの少しでも「面白い」と反応してもらえると、凄くやる気を出せるものなのです。彼らがどう考えてマンガを作っているのか、ぜひ見てあげてください。

(早川清一朗)

【画像】ヒット作を次々と…!「ジャンプ+」林さんが担当してきたマンガ作品

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