集英社のヒットメーカー・林士平さん、新漫画賞「MILLION TAG」で「応援する作家を見つけて」
『SPY×FAMILY』『怪獣8号』『終末のハーレム』など数々のヒット作を生み出している「少年ジャンプ+」は、マンガアプリのなかでますます大きな存在感を示しています。この2021年には、集英社の編集者と挑戦者がタッグを組んで優勝を目指す新たな漫画賞「MILLION TAG」が開催されます。企画に参加する編集者たちの声を紹介します。
「日本一」のマンガアプリを目指すために
マンガアプリ「少年ジャンプ+」が、次世代のスター漫画家を発掘することを目的とした新漫画賞「MILLION TAG」を実施し、2021年6月25日から選考過程をYouTubeで配信します。漫画家と編集者がタッグを組んで課題に挑み、優勝者は賞金500万円を手にするほか、「少年ジャンプ+」での連載やコミックスの発売、アニメ制作(1話分相当をYouTube「ジャンプチャンネル」で配信)が確約されるなど、異例づくしです。
なぜ「MILLION TAG」のような企画が行われることになったのか、また参加予定の編集者たちは企画についてどう考えているのか……? 企画に参加する編集者のひとりで、『SPY×FAMILY』『チェンソーマン』など多くのヒット作を手掛けた林士平(りん しへい)さんに聞きました。
* * *
──普段は、編集者としてどのような仕事をされているのでしょうか?
林士平(以下、林) 現在は『SPY×FAMILY』(作:遠藤達哉)と『HEART GEAR』(作:タカキツヨシ)という作品を担当しながら『チェンソーマン』(作:藤本タツキ)の第2部に向けた準備をしています。他にも今年開始予定の新規連載作品を数本準備しているのでひたすら電話やメール、LINEなどでネームのやり取りや細かい打ち合わせを重ね続けています。
──かなりお忙しいようですが、その上でさらに「MILLION TAG」に参加した理由は?
林 最近はさまざまなマンガアプリが立ち上がっていますが、そのなかで作家さんに僕らの「ジャンプ+」を選んでもらうために、自分たちがどのように作家に向き合っているのか、どう作家をサポートしているのかを見てもらうことに意味がある……そう考えて参加を決めました。
「ジャンプ+」は今からさらに拡大して日本で一番のマンガアプリを目指そうと思っているのですが、そのためにはより多くの作家さんと作品が必要になります。でも「来てください」と言うだけでは不十分で、作家さんに「まずはここに持っていこうか」と最初に作品を持ち込んでもらえる場所にするためには、僕らも進んで汗をかかなきゃいけないと思うんです。
──日々多くの持ち込み作品に目を通していると思いますが、どのようなポイントに着目しているのでしょうか。
林 難しいですね。編集者によって重視するポイントが「絵が上手い」「ネームが読みやすい」「この台詞はすごい」と、まちまちなんですよ。マンガって、絵が上手くなくてもその人しか作れないキャラや世界観を持っていたら、読んでしまうこともありますし、滅茶苦茶に絵が綺麗なので本を手に取ってもらえる作家さんもいらっしゃいます。
単純に、僕自身マンガが好きで色々読んでいるので、「この人は何かあるぞ」と思ったらとりあえず声をかけています。漫画家と編集者の出会いにはタイミングや運もあるので、僕自身の心に引っかからなかったとしても、どこかで良さを感じられた人には、何かしらアドバイスをすることもありますね。