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3月26日はアニメ『めぞん一刻』の放送開始日。「本物」を感じさせた永遠のヒロイン

嫉妬心をむき出しにするヒロイン

「一刻館」の個性的な住人たちのエピソードも、読者を楽しませた。画像は「めぞん一刻 TV シリーズ スペシャルプライス版 Blu-ray」(ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント)
「一刻館」の個性的な住人たちのエピソードも、読者を楽しませた。画像は「めぞん一刻 TV シリーズ スペシャルプライス版 Blu-ray」(ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント)

 さらに管理人さんは、当初こそ清楚さが前に出ていたものの、主人公の五代裕作くんの目が他の女性に向くと、嫉妬心をむき出しにします。特に『めぞん一刻』の時代はスマホはおろか携帯電話も普及しておらず、五代くんは経済的な理由から固定電話すらなかったので、連絡はすべて管理人さんか一刻館の電話に来ていたのです。女性から五代くんに電話がかかってくるシーンは、見ているこちらも冷や冷やさせられました。

 管理人さんがキレる場面は印象深い場面が多く、手にしていた編み物を投げつけたり、ステーキ肉を乱暴に切ったり、パチンコで憂さを晴らしたりと、数々のシーンは今でもよく覚えています。

 しかも当人は五代くんの気持ちが自分にあることを知りながら、テニススクールのコーチである三鷹さんとデートを繰り返しているあたりに生々しい女性の匂いを感じるのです。TVアニメのヒロインから本物の女性を感じたのは、筆者にとっては管理人さんが初めてだったのは間違いありません。

 また、強烈な個性を持つ一刻館の住人たちも、非常に印象深い存在です。1号室の一ノ瀬さんは、普段はちゃらんぽらんな宴会好きのおばちゃんですが、いざというときは年長者の貫禄を発揮し、管理人さんに助言をするなど影で人間関係を支えています。

 4号室の四谷さんは慇懃無礼な態度で五代くんの部屋に入り込み、宴会ばかりしていましたが、時折スーツ姿で出かけてもどこに行くのかは全く分からず、最初から最後まで声を担当した千葉繁さんの怪演が光る、完全な謎の人としての存在を全うしたキャラクターでした。

 6号室の六本木朱美さんは、当時アニメを見ている世代がまず見る機会はない水商売の女性で、ベビードール姿で館内を徘徊する姿は非常に刺激的でした。非常にいい加減な人物かと思いきや、管理人さんと五代くんの関係がおかしくなったとみるや、すかさずサポートするなど面倒見のいいところも見せてくれました。

 五代のライバルキャラだった三鷹瞬は、お金持ちで一流大学卒、高級車を乗り回して管理人さんをデートに誘うなど、恋愛とも言えない管理人さんと五代くんの関係を引き締めるためのキャラクターとしては、正直五代くんでは太刀打ちできないレベルの力を持っていました。しかし紆余曲折あって管理人さんを諦めた後は、爽やかにふたりの関係を応援するだけの度量を併せ持っていたことも、さらに魅力を深めていたように思えます。もし三鷹が犬恐怖症でなければどうなっていたことか……。

 そして忘れてはならないのが、最後のオープニングとなった故・村下孝蔵氏の歌い上げる「陽だまり」です。当時、日本を代表するシンガーソングライターだった村下氏の甘く切なく、胸が締め付けられるような歌声は、本作を締めくくりに素晴らしい花を添えてくれました。

(早川清一朗)

【画像】TVアニメに登場していなかった、一刻館のおなじみキャラ(4枚)

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