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3月26日はアニメ『めぞん一刻』の放送開始日。「本物」を感じさせた永遠のヒロイン

1986年3月26日、TVアニメ『めぞん一刻』がスタートしました。原作は『らんま1/2』『犬夜叉』などのヒット作で知られる高橋留美子さん。浪人生・五代裕作と「一刻館」の管理人・音無響子が織り成すもどかしい恋愛模様と、個性的な住人が繰り広げるドタバタコメディは、幅広い年齢層に受け入れられる作品として親しまれました。

「未亡人」という言葉を初めて知った

『めぞん一刻』は、未亡人のヒロインと主人公の一筋縄ではない恋が物語の軸に。画像は「めぞん一刻 テーマソングベスト」(ポニーキャニオン)
『めぞん一刻』は、未亡人のヒロインと主人公の一筋縄ではない恋が物語の軸に。画像は「めぞん一刻 テーマソングベスト」(ポニーキャニオン)

 35年前の1986年3月26日、TVアニメ『めぞん一刻』が放送開始しました。筆者にとって、未亡人がアニメのヒロインとして成立することを教えてくれたのが、高橋留美子先生による『めぞん一刻』、そして音無響子さんでした。

 同じ高橋留美子先生による原作で、1981年から放送されていたアニメ『うる星やつら』が終わり、次回から『めぞん一刻』という番組が放送されると告知されたとき、当時小学生だった筆者は「なんだか絵柄が似ているな」と感じたことを覚えています。今から考えれば作者が同じな上に、アニメのスタッフもかなりの人数がスライドしていたそうなので、当たり前だとは思いますが、まだアニメには原作があることをようやく理解し始めたころの筆者には、そのあたりの事情は分かりません。

 5年近く見ていた『うる星』の終了に大きなショックを受けていた筆者でしたが、「何か似た作品が始まるならまあいいかな?」程度に考え、翌週を迎えました。

 そして迎えた放送日にまず筆者を迎えてくれたのは、当時人気絶頂のアイドル女優、斉藤由貴さんが歌うオープニングの「悲しみよこんにちは」だったのです。明るい曲調ながらも悲しみを秘めた女性の心を歌い上げる歌詞の素晴らしさに引き込まれた筆者の目の前に現れたのが、「管理人」さんこと永遠のヒロイン、音無響子さんでした。

 若くして結婚したもののすぐに夫を亡くし、アパートの管理人としてやってきた、愁いを帯びた清楚な美人。それが最初に管理人さんに抱いた最初のイメージでした。

 声を担当した島本須美さんの、澄んだ声を初めて聴いた時の衝撃は忘れようがありません。脳の中に直接、美人ヒロイン成分を注ぎ込まれるような感覚は、思春期の男子にとって、とてつもなく強烈なものでした。もちろんそれまでもさまざまな作品で島本さんの声を聞いてはいたのですが、管理人さん役はあまりにもぴったりと合っていたのです。

 実はこの時、筆者はまだ「未亡人」という言葉を知らず、親に意味を教えてもらった記憶があります。最近になって改めて、まだ昭和の時代に未亡人をヒロインに据えると決めた高橋留美子先生の発想のすさまじさに気づかされます。本来であれば成年向けの要素を盛り込み、ラブコメディとして成立させる力量は尋常ではありません。天才とは、常人が気づかない発想を速やかに力強く実行できる存在なのでしょう。

【画像】TVアニメに登場していなかった、一刻館のおなじみキャラ(4枚)

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