豪華声優で期待集めた『天空戦記シュラト』、物語後半を「前半のクオリティ」で見たかった
1989年4月6日は『天空戦記シュラト』の放送が開始された日です。密教とインド神話をモチーフとして作られた、『聖闘士星矢』や『鎧伝サムライトルーパー』の流れを汲んだ甲冑バトルアクション作品で、多くの人気声優が一堂に会した作品です。子安武人氏の初レギュラー作品ともなった本作ですが、中盤以降は作画が崩壊し、当時のファンを驚かせました。
豪華極まりない声優陣

1980年代半ばから後半にかけて、「甲冑をまとった少年たちのバトル作品」人気が極めて高い時期がありました。『聖闘士星矢』が生みだしたこのジャンルでは、1988年に『鎧伝サムライトルーパー』が放送されて女性からの爆発的な支持を受け、声優陣がユニット「NG5」を組んでライブを行ったところ、会場に詰め掛けたファンが失神するという出来事までありました。あの忌まわしい「宮崎事件」報道によって受けたダメージから、アニメはようやく復活しつつあったのです。
そのような状況下で1989年にスタートしたのが『天空戦記シュラト』でした。やはり同時期に『孔雀王』がもたらした密教ブームを取り入れた本作は、主要キャラクターが神甲冑(シャクティ)と呼ばれる甲冑を身にまとっており、密教とインド神話を融合させた世界観を持つバトルアクション作品として、アニメファンからは大きな期待を寄せられていました。
主人公のシュラトの声を担当したのは、関俊彦氏。1987年放送の『赤い光弾ジリオン』で高い評価を受けての起用となりました。『ジリオン』で共演した井上和彦氏は迦楼羅王レイガ、故・水谷優子氏はヒロインのラクシュと、それぞれ重要な役柄を担っており、当時のアニメファンを歓喜させています。関氏の叫ぶ「修羅魔破拳(しゅらまっはけん)!」が今でも耳に刻まれているという方も多いのではないでしょうか。
また、他にも堀内賢雄氏、山寺宏一氏、林原めぐみ氏、飛田展男氏、島本須美氏、故・鈴置洋孝氏など、主役級を務める声優陣が顔を揃えていたことも本作の大きな特徴でしょう。今であればひとりが参加するだけでアフレコの場がピリッと引き締まるクラスの方々がスタジオを埋め尽くしていた光景は、さぞかし壮観だったと思えます。
そして忘れてはならないのが、本作は子安武人氏のレギュラー作品デビュー作だということです。シュラトのライバル、夜叉王ガイとして「シュラト……殺す!」と叫ぶシーンが印象的な役柄でしたが、子安氏自身は本格的な声優仕事が初めてだったこともあり、色々と苦労されたそうです。