実写『ガンダム』監督は日本のアニメ&特撮好き?「赤い彗星」とともに気になる描写は…
かっこいいモビルスーツだけでは、『ガンダム』は成立しない

ジョーダン監督の『髑髏島の巨神』では、コングがヘリコプター部隊と戦うシーンは大変な迫力がありました。今回の実写版『ガンダム』で描かれるであろうモビルスーツ同士の激突シーンは、『Gセイバー』のようにがっかりせずに済みそうです。しかし、ファンとしてはどんなストーリーになるのかも気になるところです。
人類がスペースコロニーで暮らすようになった宇宙世紀に、シャア・アズナブルのような仮面を被った敵キャラが登場することになるのでしょうか? シャアのようなトリックスターの先輩としては、『スター・ウォーズ』(1977年)のダース・ベイダーが存在するわけですが……。シャアやランバ・ラル大尉のような魅力的な敵キャラなしでは、『機動戦士ガンダム』の面白さは半減してしまいます。
もうひとつの懸念点は、「ニュータイプ」という概念が描かれるのかどうかです。『機動戦士ガンダム』の主人公である少年アムロ・レイは、戦いの日々のなかで「ニュータイプ」へと覚醒していきます。「ニュータイプ」という要素をうまく物語に取り入れることができるかどうかも、大きなポイントでしょう。
富野監督が『機動戦士ガンダム』のなかで描いた「ニュータイプ」は、決して超能力者ではありません。地球の重力から離れた宇宙空間で育った新世代から、直感力や洞察力にすぐれた人間が現れ、さらには言葉を超えて理解し合うことができるようになる……というものでした。
両親との間に溝があり、他者との交流も得意ではなかった内向的な少年アムロが、さまざまなライバルとの戦いを通して、人間的に成長していく姿を描いたのが『機動戦士ガンダム』です。かっこいいモビルスーツがたくさん出てきても、それだけでは『機動戦士ガンダム』にはならないのです。
ビジュアル的には見事だった『ゴースト・イン・ザ・シェル』
押井守監督の劇場アニメ『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』(1995年)は、スカーレット・ヨハンソン主演作『ゴースト・イン・ザ・シェル』(2017年)としてハリウッドで実写映画化されました。ビジュアル面はとても見事でしたが、オリジナル版にあった「ゴースト」という概念はハリウッド版では薄められ、「記憶」に置き換えられていました。製作者サイドは「攻殻機動隊」シリーズをよくリサーチし、物語は分かりやすくなっていました。でも、どこか物足りなさを感じたのも事実です。文化の異なるハリウッドでの実写化は、やはり容易ではありません。
アムロとララァ・スンのように言語を超えて理解し合うことは難しいかもしれませんが、オタク心を持ったジョーダン監督が生粋のガンダムファンを唸らせるような実写版を生み出してくれることに期待したいと思います。
ミライさんやセイラさんといった女性キャラクターたちの入浴シーンがあるかどうかも、ちょっと気になるところです。富野監督作品は、女性キャラがとても印象的です。入浴シーンは、戦う女性たちが軍服を脱ぐ、束の間の日常を描いた重要なひとコマです。実写版に入浴シーンがあると、富野監督も大いに喜ぶのではないでしょうか。
(長野辰次)





