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今週の金ローで『るろうに剣心』放送。人気マンガの実写化が成功した要因は?

スクリーンからあふれる熱気は、ガチから生まれた

原作マンガ『るろうに剣心 明治剣客浪漫譚』第1巻(集英社)
原作マンガ『るろうに剣心 明治剣客浪漫譚』第1巻(集英社)

 大友監督が「るろうに剣心」シリーズのアクション監督に起用した、谷垣健治氏の功績も大きなものがありました。谷垣氏は香港映画界でスタント修行を積み、「宇宙最強の男」と呼ばれる現役アクションスターであるドニー・イェンの右腕的存在となっています。ワイヤーアクションをはじめ、香港映画界などで培ってきたノウハウがふんだんに「るろうに剣心」シリーズには注ぎ込まれています。

 日本の俳優が香港のアクション映画に出演すると、みんな戸惑うそうです。日本の映画やドラマの格闘シーンは「寸止め」が基本となっていますが、香港映画では力は加減されているものの、実際に当ててくるからです。『るろうに剣心』では、佐藤さんは「ラバー刀」と呼ばれる模擬刀を使いました。ラバー素材なので、鋭い打ち込みが可能だったのです。剣心に集団で襲いかかる敵は、プロのスタントマンたちです。経験豊富なスタントマンたちを相手にすることで、佐藤さんは躊躇することなく全力で「逆刃刀」を振るうことができたのです。

 第1作のハイライトは、悪徳商人・武田観柳(香川照之)の用心棒に雇われた外印(綾野剛)と、剣心との対決シーンです。アクションシーンはスタントマンの方が慣れているわけですが、役への入れ込み方や感情表現は俳優の方が上です。外印と剣心の戦いは、わずか2日間だけの撮影だったそうですが、人気俳優同士のアクションへのこだわりがぶつかり合った熱いものに仕上がっています。

『るろ剣』が広く愛され続ける理由

 元新撰組・斎藤一役の江口洋介さん、喧嘩が大好きな相楽左之助役の青木崇高さん、活人剣を理念とする神谷道場を守る神谷薫役の武井咲さん、色っぽい女医・高荷恵役の蒼井優さんらに加え、シリーズ第2作『るろうに剣心 京都大火編』からは土屋太鳳さん、神木隆之介さんらも参加することになります。原作のイメージを壊さない、人気キャストたちの配役も成功した要因でしょう。

 大ヒットした理由をもうひとつ挙げるとすれば、『るろうに剣心』が描いた時代背景も関係しているように思います。長く続いた武家社会から新しい世の中を迎えた明治時代は、社会の変化についていけずに闇落ちしてしまう人も大勢いました。戊辰戦争や西南戦争では、多くの命が失われています。

 現代の日本も、高度経済成長の基盤となった終身雇用制度が崩れ、先の読めない流動的な時代となっています。幕末期には人斬りとして恐れられた抜刀斎こと剣心ですが、新しい時代になってからは決して人を殺めないことを誓い、前向きに生きようとしています。剣心の一途さに薫や左之助たちは惹かれ、剣心を支えようとします。そんな剣心と仲間たちが紡ぐハートウォーミングな物語に、令和時代を生きる私たちも魅了されているのではないでしょうか。

(長野辰次)

【画像】映画『るろ剣』大ヒットの軌跡。振り返りたい映像作品(5枚)

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