5月8日はさくらももこ先生の誕生日。マンガにとどまらない、爆笑作品の数々
失われた風景へのノスタルジー
実は、筆者は当時姉が買っていた「りぼん」を借りて読んでいたため、『ちびまる子ちゃん』の1話を連載誌面で見たことがあります。
当時の少女マンガは恋愛をベースにした作品がメインだったため、普通の子供たちの日常を描いた『ちびまる子ちゃん』を読んだとき「このマンガ、何がしたいんだろう」と感じたことを覚えています。
しかし改めて考えてみれば、『ちびまる子ちゃん』の連載が開始された1986年はちょうどバブル景気が始まった年で、それまで当たり前だった牧歌的な風景が次々と失われていく時代の始まりでもあったのです。
『ちびまる子ちゃん』で描かれていた、学校や家庭で繰り広げられていた当たり前の風景は、連載が進むにつれて社会の側が変化し、「失われた懐かしい風景」に変わっていきました。さくら先生が意図していたのかどうかは今となってはわかりませんが、『ちびまる子ちゃん』は昭和から平成へと移り行く時代の中で、ノスタルジーを感じさせる存在として地位を確立していったのではないでしょうか。
もちろん、さくら先生が送り出した作品は『ちびまる子ちゃん』だけではありません。1997年から1999年にかけてTVアニメ化された『コジコジ』は、メルヘンさとシュールさをあわせ持つ独特な雰囲気の作品として人気を獲得。2021年4月には北千住マルイでイベントも開催されていましたが、残念なことに緊急事態宣言の影響により開催途中で中止となってしまいました。
さくら先生は2018年8月5日に乳がんで亡くなられてしまいましたが、『ちびまる子ちゃん』をはじめとする作品たちは、今なお多くの人を楽しませてくれています。2020年にはTVアニメ化30周年を記念して、人気の高いエピソードのリメイクや展示会などさまざまなイベントが行われました。きっとこれからも、さくら先生が遺してくださった作品たちは、末永く生き続けてくれるのでしょう。
でも、もし、さくら先生がまだ生きていて下さったら、もっと面白いものをどんどん生み出してくれていたのではないのでしょうか。それだけが残念で仕方がありません。ここに謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
(早川清一朗)