高性能な量産型「ゲルググ」の悲運。一年戦争で出番が少ないのは物語以外にも理由が…?
量産型ゲルググは打ち切りのしわ寄せを受けた…?

なぜ、量産型ゲルググは高性能機でありながら、登場シーンが少ないのでしょうか。
作中での解釈としては、戦況がジオン不利になってから登場したためと考えるのが正しいと思われますが、別の側面から見れば、作品の打ち切りが大きく影響しているのではないかと考えられます。
初代ガンダムは当初、52話が予定されていました。しかし43話での打ち切りが決まり、終盤の展開が大きく省略/変更されています。このときカットされた9話は、アムロのガンダムがシャアのMS-14Sゲルググ(注2)と戦ったテキサスの攻防の後のエピソードのため、おそらく量産型ゲルググの登場はこの部分だったはずです。
ニュータイプとして覚醒したアムロをはじめとするホワイトベース隊を相手にどこまで戦えたかは分かりませんが、少なくともガンダムとの交戦シーンは存在していたでしょう。
また、改めて初代ガンダムを見返してみれば、モビルスーツの被撃墜シーンは当時の通例として、バンク(使い回し)が多くなっています。製作の最終盤では作画の中心となっていた安彦良和氏が体調不良でリタイヤするなど切迫した状況となっていたため、新規の作画が必要となるゲルググの戦闘シーン、被撃墜シーンをそれほど多くは用意できなかった可能性は高いと思われます。
さまざまな理由から「高性能を発揮しきれなかった傑作機」として、かえってロマンあふれる機体となったゲルググは、後継作品でしばしば姿を見せています。『機動戦士Zガンダム』では、漂流していたグワジン内部に放棄されていたジャイアント・バズ装備の機体が発見され、回収されてネモの部品を使用し修理され、百式のメガバズーカ・ランチャーのエネルギー供給源となるなど活用されています。
また、『機動戦士ガンダムZZ』では数機のゲルググが登場し、地の利を生かすなどして最新鋭機であるZZガンダムやZガンダムを苦しめる活躍を見せています。
『機動戦士ガンダムUC』でも、改修を受けたゲルググが実戦配備されるなど、時代が進んでも運用が続けられており、基礎性能の高さは証明されています。かつて初代ガンダムを見て育ったクリエイターたちが「自分の手でゲルググを活躍させたい!」と思い続けてくれる限り、ゲルググは末長く姿を見せ続けてくれるでしょう。
(※注1)出典:「GUNDAM CENTURY」(みのり書房)
(※注2)出典:レーザーディスク版ライナーノート
(※注3)型番はガンプラ「HGUC ゲルググ(シャア・アズナブル大佐専用機)」に準拠しました
(早川清一朗)