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悲運の「かませ犬」ヤムチャ 今だから分かる、「楽」の文字に込められた思い

ノーサイド精神とポジティブ思考がヤムチャの強み

 それと、ヤムチャのマイナス点として「ドヤ顔」を挙げる人が多くいます。天津飯や栽培マン戦であれだけ言葉でディスっておきながら、あっさり敗北したことが要因でした。しかし、これから戦う相手に強気で挑むのは当たり前で、ダメ出しするほどのこともないかと思います。あえて言うなら、油断につながってると思える部分でしょうか。

 こうやってヤムチャのダメな面ばかり挙げていますが、彼にはもちろん良い部分もたくさんあります。そのなかでも、戦いの後に恨みを残さない「ノーサイド精神」は、悟空に優るとも劣らないのではないでしょうか。

 例えば前述の天津飯との戦い後、改心して謝ってきた天津飯に一切の恨み言を言っていません。また、その天津飯から気持ちが分からないと言われながらも、間接的に自分を殺した一因であるベジータと暮らすことを問題視していない。他にもジャッキー・チュンやシェンと戦った後は実力を素直に認め、年上であることから丁寧な言葉で接していました。

 とにかくいつまでも悪い気持ちを引きずらず、過去のことは過去のこととする未来志向の持ち主だと言えます。それゆえ、フラれた相手であるブルマと気兼ねなく友人として付き合えるのかもしれません。思えば、最初に着ていた服の中央にある「楽」の一文字が、ヤムチャの変わらぬ生き方の指針なのでしょう。

 他にも嫌な予感がすると、一度死んだことのあるクリリンに代わって栽培マンと戦い、戦力にならないからと心臓病で倒れた悟空を連れて戦線を離脱するなど、仲間思いで優しい面が多々見られます。そういう意味では戦いに特化していく仲間たちに比べて、人間的に甘い部分があったことがヤムチャの美徳であり、戦士としてはマイナスだったのかもしれません。

 逆にそんな人間臭さが、ネタキャラとしてファンから愛され、ディスられる存在になったのではないでしょうか?

 アニメ『ドラゴンボール超』第70話「シャンパからの挑戦状!今度は野球で勝負だ!!」では、久々に物語の主役を演じ、シリーズ初の副音声放送で担当声優の古谷徹さん自ら色々と語るという試みがありました。また、まさかのスピンオフマンガ『ドラゴンボール外伝 転生したらヤムチャだった件』は、ヤムチャというキャラがいかにファンから認知され、愛されているかの証明でしょう。

 今や「かませ犬」も、「相手に暴言を吐く役」も、「ブルマ」もベジータに奪われたヤムチャですが、そんな過去は気にせずに生きているからこそ、今を「楽」に過ごしてポジティブな人間味あふれるキャラに落ち着いたのだと思います。

(加々美利治)

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