『カムイ伝』の白土三平氏と岡本鉄二氏、過酷な身分社会を生きる人びとを描き切った
2021年10月26日、『カムイ伝 第二部』などを連載した白土三平氏が8日に誤嚥(ごえん)性肺炎で、その弟で作画を担当した岡本鉄二氏が12日に間質性肺炎で亡くなられたことが明らかになりました。
我々は遠くから来た そして、遠くへ行くのだ

2021年10月26日(火)、『カムイ伝 第二部』などを連載した白土三平氏が8日に誤嚥(ごえん)性肺炎で、その弟で作画を担当した岡本鉄二氏が12日に間質性肺炎で亡くなられたことがビッグコミック編集部から発表されました。白土先生は『サスケ』や『忍者武芸帳・影丸伝』『カムイ伝』など多くの忍者作品を生みだすなかで身分社会における過酷な階級闘争を描き出し、熱狂的な支持を得ました。
ついに、白土先生が亡くなられてしまいました。過去に執筆予定を口にしていた『カムイ伝』の第三部を目にすることはもう叶いません。若いころ、友人に『カムイ外伝』の第二部20冊を借り、むさぼるように読んでもなお足りず、結局自分でも全巻揃えてから20年以上が経ちました。今日、この追悼文を書くために改めて読み直してみましたが、執筆当時に考えられていた江戸時代の姿をリアルに映し出し、過酷な身分社会のなかでそれぞれの人生を懸命に生きようとする人びとの姿はまったく色あせません。
さて、白土先生といえば、1960年代のTVアニメで多くのヒット作を出したことでも知られています。まず1964年には『忍者旋風(風魔忍風伝)』、『風の石丸』を原作とした『少年忍者 風のフジ丸』が白黒作品として放送されましたが、制作会社が起こした権利関係のトラブルにより、29話からクレジットが削除されています。
続いて1968年には代表作のひとつである『サスケ』が放送されました。真田幸村配下の猿飛忍軍の一員である大猿大助の息子、サスケを主人公とした物語で、小さな体で忍術を駆使して大人の忍者をやっつける姿に、当時の子供たちは熱狂していたそうです。本作はカラー作品だったため再放送の機会に比較的恵まれており、視聴したことがある方も多いのではないでしょうか。
そして1969年には『忍風カムイ外伝』が放送されています。終了後に放送されたのが、ご長寿TVアニメとなった『サザエさん』だったことからも、白土作品の歴史の長さをうかがい知ることができます。