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『機動戦士ガンダム』41話「光る宇宙」 打ち切り決定のなか描かれた、ふたりの男の苦悩

「ララァ! 奴との戯言はやめろ!」

シャアとララァの出会いを描いた小説『密会 アムロとララァ』(KADOKAWA)
シャアとララァの出会いを描いた小説『密会 アムロとララァ』(KADOKAWA)

 命のやり取りを続ける極限状態のなかで、アムロとララァ、ふたりのニュータイプの意志が通い合い始めます。

「なぜ戦うのか!」アムロの叫びにララァは「シャアを傷つけるから」と、シャアへの愛が戦いの理由だと答えます。本編では明確に語られることはありませんでしたが、富野監督の手による小説『密会 アムロとララァ』で、ララァが元娼婦であり、感受性の高さに気付いたシャアによって身請けされたことが明かされています。娼婦としての生活から自分を救い出してくれたシャアに対する恩は、求められることにより愛へと変わり、共に戦場に出ることをいとわぬまでにシャアとの繋がりは深くなっていたのではないでしょうか。

 ララァはアムロが両親も帰るべき故郷も失っていることを知り、なぜ戦えるのかと責め立てます。互いの心が一つに溶け合うなか、戦いの意味、出会いの意味を問いただし合うふたりの間に、突然シャアが割り込んできます。

「ララァ! 奴との戯言はやめろ!」シャアが叫んだのはこの言葉でした。シャアはこのときニュータイプとして目覚めており、ララァの心がアムロと結びついていたことに気づいてしまったのです。

 立場の違いから不毛な戦いを繰り広げる3人。そこにセイラが介入したことから、均衡が崩れます。乗っているのがセイラだと気づかずにGファイターのコクピットを薙ぎ払おうとするシャア。ララァは寸前に兄が妹を手にかけようとしていることを察知し、制止します。

危ういところで妹殺しの大罪を避けたシャアでしたが、この時見せた一瞬の動揺は、アムロがゲルググの右腕を両断するのに十分な時間でした。

 アムロがシャアにとどめを刺そうとしたとき、ララァがエルメスで割り込み、ガンダムのビームサーベルをその身で受け止めます。

 そしてララァは宇宙に溶け、二人の男の絶望と苦悩が始まります。『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』で描かれる宇宙世紀0093年まで続く苦悩が。

(早川清一朗)

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