『機動戦士ガンダム』41話「光る宇宙」 打ち切り決定のなか描かれた、ふたりの男の苦悩
1980年1月12日は『機動戦士ガンダム』の第41話「光る宇宙」が放送された日です。デギン・ザビがレビル将軍との和平会談に向かうなか、ギレン・ザビは1回しか使えないコロニーレーザーの用途を思案します。アムロとララァは再び戦場で邂逅(かいこう)し心を通わせますが、シャアとセイラの介入が最悪の事態を招いてしまいます。
錯綜する人間模様が凝縮
42年前の1980年1月12日は、『機動戦士ガンダム』の第41話「光る宇宙」が放送された日です。すでに打ち切りが決まった状態で放送回数残り3話となった『ガンダム』は、ストーリーが凝縮されており、終末へと突き進む「一年戦争」とキャラクター同士の人間模様の双方が濃密な展開を見せていきます。
デギン・ザビ公王がレビル将軍との和平会談に向かうなか、ギレン・ザビは1回しか使えないコロニーレーザーの用途を思案します。キシリア・ザビは連邦軍艦隊との交戦の合間にシャアと面会し、シャアの正体がキャスバル・ダイクンだと知っていると伝えます。シャアは「手の震えが止まりません」と恐怖を口にしますが、果たして本当に恐れていたのかはわかりません。
おそらく、政治的な策謀を得意とするキシリアがジオン・ズム・ダイクンの遺児を前にして取る対応は、殺害か懐柔かふたつにひとつ。このときキシリアの周りには兵がおらず、また連邦軍の艦隊に対して戦闘を継続していたタイミングでもあり、もしシャアが殺害されるようなことがあれば将兵は動揺し、何よりララァとエルメスが使い物にならなくなるのは明白です。
キシリア自身もニュータイプへの革新を重要視しており、ニュータイプに目覚めつつあるシャアを排除することはない。このときシャアは、当面の身の安全を確信したかもしれません。あくまでもジオン内での政治的な動きに関しては、ですが。
そしてキシリアの艦隊は、前話に続きホワイトベース含む連邦軍艦隊に対する攻撃へと入ります。ジオン軍が送り出したエルメスとリック・ドム部隊に対し、連邦軍も多数のジムとボールを投入。ホワイトベースもガンダムを含む全力出撃を行います。
まずは激しい艦隊戦が繰り広げられ、双方2艦ずつを失います。リック・ドムとジム、ボール、ガンキャノンらが交戦を始めるなか、アムロはララァのエルメスとの一騎打ちに入るのです。
アムロはエルメスから放たれたビットの複雑な機動を完全に見切り、ビームライフルで次々と撃墜します。多数のビットを失ったララァは自らの姿をさらし、ガンダムとエルメスは直接ビームを交わしあうのです。