『マクロス』死亡フラグに散った男・打ち勝った男 「名前」で生存が確定していた?
キャラクターが死亡する直前に入る、それまでは無かった言動のことを「死亡フラグ」と呼びます。特に『超時空要塞マクロス』シリーズではさまざまな死亡フラグが存在し、死亡フラグに散ったキャラクターもいれば、跳ね返して生き残ったキャラクターもいます。
「マクロス」シリーズの伝統・死亡フラグ
バルキリーが宙を舞い、歌が銀河を駆け巡る。2022年で40周年を迎えるアニメ「マクロス」シリーズにおいて、戦闘とキャラクターの戦死はつきものです。戦死は悲劇を演出しストーリーを盛り上げる手段として使われることが多いのですが、効果をより際立たせるために死亡を予告するような描写が事前に入ることが多く、これを「死亡フラグ」が立つと呼びます。
「マクロス」シリーズの特に有名な「死亡フラグ」と言えば初代『超時空要塞マクロス』の主人公・一条輝の上官であるロイ・フォッカー少佐と、部下の柿崎速雄に立てられたものです。
SDF-1マクロス護衛航空部隊の中心的存在だったロイ・フォッカー少佐は輝の父親が率いていた飛行曲芸団で腕を磨き、後に統合軍に入隊、エースパイロットとして君臨していました。スカル小隊の隊長を務め、豪放らい落な性格で部下思い、輝たちが背中を追い続けたフォッカーに、突然スポットが当たったのが第18話「パイン・サラダ」でした。戦闘で負傷した輝を見舞ったフォッカーは、リン・ミンメイを輝に合わせようと、交際していたクローディア・ラサールにミンメイのスケジュールを調べてもらい、喫茶店で落ち合って言葉を交わします。クローディアとの別れ際、新たにレシピに加わった「パイン・サラダ」を食べると約束して別れたものの、ゼントラーディ軍女性空挺部隊との戦闘で負傷し、無理を押してクローディアの部屋に向かい息絶えます。この事例から「マクロス」シリーズにおいて「パイン・サラダ」は死亡フラグとして扱われるようになったのです。
次に死亡フラグを樹立したのが一条輝の部下・柿崎速雄でした。フォッカーの死から間もない第19話「バースト・ポイント」で輝たちと食事に向かった柿崎は、サーロイン特大ステーキをミディアムで注文、分厚い肉の塊を前に舌なめずりをしますが、緊急発進の連絡を受け、一切れだけ食べて出撃します。
しかしその後の戦闘でマクロスの全方位バリアーが過負荷に耐えかね、暴走して爆発。輝と同僚のマクシミリアン・ジーナスは離脱に成功するものの、柿崎だけが巻き込まれ戦死しました。なお、該当のシーンでは爆発直前に輝とマックスはいち早くバトロイド形態からファイター形態に変形していますが、柿崎のみ変形が遅れています。柿崎も腕は悪くないものの、エースパイロットと比較するとわずかに判断力に劣る点が戦死につながったことを示す演出が行われていたことに驚かされます。この出来事以降、「マクロス」シリーズにおいて、「ステーキの食べ残し」も死亡フラグのひとつとして認識されるようになりました。