マグミクス | manga * anime * game

『宇宙刑事ギャバン』40周年 TV特撮の「逆境」を打ち破った、画期的な試みとは?

視聴者の心を動かした、俳優の熱気とアイデア

ギャバンのメタリックボディを再現した、「S.H.フィギュアーツ 宇宙刑事ギャバン」(バンダイ)
ギャバンのメタリックボディを再現した、「S.H.フィギュアーツ 宇宙刑事ギャバン」(バンダイ)

 本作の主人公であるギャバン/一条寺烈を演じたのが、当時の人気アクション俳優だった大葉健二さんでした。大葉さんは『バトルフィーバーJ』(1979年)、『電子戦隊デンジマン』(1980年)と、2年にわたって戦隊メンバーを演じていて、当時のファンからは評価の高い俳優のひとりだったと思います。

 しかし、主役への起用には反対意見も多くあり、最終的に吉川プロデューサーが反対意見を押し切って登用しました。しかし、テレビ局側からは「視聴率が2ケタに届かなかった場合はクビ」と言われたそうです。

 それを聞いた大葉さんは作品に「命を懸ける」決心をして、危険なアクションにも果敢に挑戦しました。その熱気が画面にも伝わったのか、大葉さんの激しいアクションシーンは子供たちの注目の的となります。視聴率も前番組を超えて、同時間帯で1、2を争うほどの好成績でした。

 ちなみに「蒸着」のポーズは大葉さんが考案したものだそうです。しかし、シンプルで短いものだったことから、ファンサービスとして変身シーンを長くするため、変身後の見えきりシーン、連続写真風のポージングカット、ナレーションによる「宇宙刑事ギャバンがコンバットスーツを蒸着するタイムはわずか0.05秒にすぎない……」というおなじみの流れが誕生しました。これにより、宇宙刑事の定番フォーマットのひとつが確立しました。

 ヒロインであるミミー役を演じた叶和貴子さんは当時からドラマでも人気のあった女優で、本作出演以降に本格的なブレイクを果たします。そのためか、放送当時の大葉さんにアンチレターが送られてきました。しかし、大きな問題になると困るので、プロデューサーと相談の上、当時は秘密にしていたそうです。

 この他にも、本作の見どころのひとつといわれているのが音楽でした。作曲は多くのアニメ・特撮作品を手がけた渡辺宙明さん。特筆すべきはクライマックスのレーザーブレード使用シーンに流れる曲でしょう。一部のファンからは「処刑音楽」とまでいわれる、お約束のBGMです。この曲が好評だったことから、後の宇宙刑事シリーズはもちろん、他のアニメ作品でも似た曲調が使用されるほどでした。

 余談ですが、OP曲の途中に入る叫び声は、放送当時の歌詞には省略されることが多く、ファンは雰囲気で何となく叫んでいました。筆者の場合は「フィー!フィー!」です。しかし、最近では表記されるようになり「ビーム!」ということが判明しました。みなさんはどんな感じで歌っていましたか?

 本作は大好評のまま最終回を迎え、次回作『宇宙刑事シャリバン』(1983年)へとつながりました。これにより本作は宇宙刑事三部作、そして90年代まで続く「メタルヒーローシリーズ」というコンテンツの第1号作品となります。

 もしも、それまでの壁を打ち破った本作が誕生しなければ、日本の特撮TV番組は現在まで続いていなかったかもしれません。それはおそらく、日本どころか世界の歴史まで変わっていた可能性だと思いませんか?

(加々美利治)

1 2 3