「スーパー戦隊」で珍しかった「シリアス展開」 大人向け要素や残酷描写が強烈な印象に
「スーパー戦隊」シリーズには、明るいヒーロー物語の裏に潜む、強烈な印象を残す「衝撃回」が存在します。映し出されたのは一瞬とはいえ、「子供向け番組」からかけ離れた描写は、今も語り継がれています。
悪キャラが精神崩壊の衝撃回

子供向けのヒーロー作品として親しまれてきた「スーパー戦隊」シリーズは、分かりやすい勧善懲悪な物語が中心になる一方で、ときに視聴者の心に強烈な印象を残すシリアスな展開が描かれることもあります。明るい物語のなかに差し込まれる重い展開や残酷な描写は、今なお多くの人びとの記憶に刻まれています。
地球侵略を企てる「次元戦団バイラム」との戦いを描いたスーパー戦隊シリーズ15作目『鳥人戦隊ジェットマン』は、1991年に放送された作品です。本作は、ジェットマンの「ブラックコンドル」こと「結城凱」がギャンブル好きで喫煙者であるなど、大人向けの要素が強い作風でも注目を集めました。
同作の第47話「帝王トランザの栄光」は、シリーズ屈指の衝撃回として知られています。物語は、バイラムの幹部「トランザ」が最終決戦を宣言し、ジェットマンのリーダーで「レッドホーク」こと「天堂竜」の前に現れる場面から始まります。彼は竜の前に姿を現して決着を迫り、さらに新兵器「バイオガン」でジェットマン4人を抵抗の間もなく石板に変えてしまいました。
孤立した竜の前に、45話から消息を絶っていた敵幹部「ラディゲ」が現れます。トランザと対立関係にあったラディゲは、トランザに致命的なダメージを与えます。その後、混戦のなかで石化が解けたジェットマンの攻撃により、トランザは敗北してしまうのです。
瀕死のトランザに対し、ラディゲは私怨からさらに執拗な攻撃を加え、その精神を完全に破壊してしまいます。ラストではトランザは精神病院に収容され、自我を失った廃人同然の姿となってしまいました。強敵だった存在が心を失い壊れていく過程は、シリーズのなかでも屈指の重さを持つエピソードとして知られています。
6人目の戦士「まさかの殉職」

2000年に放送されたシリーズ24作目『未来戦隊タイムレンジャー』は、未来から来た5人の戦士が、未来世界の凶悪犯罪集団「ロンダーズファミリー」と戦う物語です。同作の第49話「千年を越えて」では、タイムレンジャーのもうひとりの戦士である「タイムファイヤー」こと「滝沢直人」の最期が描かれました。
直人はこれまで、タイムレンジャーたちとは一線を画す現実主義的な価値観を持ちながらも、自らの信念に従い行動してきた人物です。彼は最終決戦のなかで敵の「ゼニット」たちの集中砲火に遭い、重傷を負ってしまいました。
治療中の直人は、救護所から逃げ出してしまった少女の小鳥を探すために外に出て、小鳥を少女のもとへ戻します。しかしその直後、ゼニットが放った銃弾によって倒れてしまいます。直人は、駆けつけた「タイムレッド」の「浅見竜也」に変身ギア「ブイコマンダー」を託して命を落としてしまうのでした。
ヒーローの死を真正面から描いた展開は、朝の放送とは思えないほどの重みと切なさを伴い、多くの視聴者に強い印象を残しました。
子供向けの枠をこえた「衝撃描写」

中国拳法をモチーフとした戦士たちが活躍するシリーズ17作目『五星戦隊ダイレンジャー』は1993年に放送された作品で、妖怪のような存在「ゴーマ族」との戦いが描かれた作品です。本作の第18話「(秘)の白虎ちゃん」は、物語のなかでも異質な空気感を放つエピソードとして知られています。
18話では、6人目の戦士「キバレンジャー」こと少年の「コウ」の過去が明かされ、彼がゴーマ族の血を引いていることが判明します。さらに、コウの母親が息子の覚醒を恐れ、腕に白虎の焼印を押したという衝撃的な事実も描かれました。なかでも焼印を押し付けられるシーンは強烈で痛々しく、子供向け作品としては踏み込みすぎともいえる描写が、当時の視聴者に大きな衝撃を与えています。
さらに、戦闘パートでは「ホウオウレンジャー」が長時間にわたって敵に追い詰められ続ける展開が描かれました。コウがキバレンジャーとして立ち上がる決意を固めるまで執拗な攻撃を受け続けるという異例の構成となっており、強い緊張感が際立っています。
こうした焼印のシーンや過酷な戦闘描写が重なり、当時のお茶の間に強い衝撃と恐怖を与えた回として、シリーズのなかでも印象深いエピソードとなっています。
(LUIS FIELD)

