知らぬ間に消えていた? 『タロウ』ではないウルトラ6番目の兄弟とは
「ウルトラ6番目の弟」といえば「ウルトラマンタロウ」を思い浮かべる人が多いでしょう。しかし、すでに『ウルトラマンA』では「ウルトラ6番目の弟」と名乗る少年がレギュラー出演していたことを覚えていますか? その名は「梅津ダン」で、主人公の「北斗星司」からも信頼され大活躍していました。しかし、突如何の説明もないまま番組から姿を消してしまったのです。
『A』と『タロウ』の間に登場していた?

「ウルトラ6番目の弟」といえば「ウルトラマンタロウ」を意味することはウルトラファンの常識ですが、実は1972年に放送が始まった『ウルトラマンA』のなかに「6番目の弟」が登場していました。突然途中で姿を消したので、当時の視聴者の世代でも忘れてしまった人が多いかもしれません。
第28話「さようなら夕子よ、月の妹よ」で、主人公「北斗星司」の相棒である「南夕子」が月に帰り、入れ替わるように第29話「ウルトラ6番目の弟」で少年「梅津ダン」が姉「香代子」とともに登場しました。
ダンは「ウルトラの星」から届く声を聞いて超獣の出現を予言し、さらにピンチになった「ウルトラマンA」に敵の弱点を知らせることもできました。超獣を倒した後、ダンはウルトラ6番目の兄弟になったことを自覚し、北斗もそれを認めました。
ダンはあきらかに特殊能力を持っており、過去の「ウルトラ」シリーズに登場した子供たち、例えば『ウルトラマン』の「ホシノ・イサム」、『帰ってきたウルトラマン』の「坂田次郎」などとは一線を画しています。
その後も、祈りを通じてウルトラの星経由でAに敵の弱点を知らせたり、普通の子供には託せない危険な任務をこなしたりすることで、北斗だけでなくTAC極東隊長「竜五郎」からも「ウルトラ6番目の弟」と認められるほどになりました。
しかし、回を重ねるごとに特殊能力を発揮する機会を失い、ただ北斗を慕う少年という立ち位置に変化します。そして、第43話「冬の怪奇シリーズ 怪談 雪男の叫び!」を最後に、突然姿を消しました。次回作『ウルトラマンタロウ』(1973年)では何事もなかったように「タロウ」がウルトラ6番目の兄弟になったのはご存じの通りです。
なぜ梅津姉弟は何の説明もなく番組を去ったのか? 今でも謎のままです。ただ、白石雅彦氏著『「ウルトラマンA」の葛藤』によると、「梅津姉弟最終エピソードの撮影前後に次回作『ウルトラマンタロウ』の企画が浮上し、『6番目の弟』がふたりいると不都合なため降板させられたのではないか」という説が有力視されています。
尻切れトンボな結末、そして、何より「タロウ」の誕生によって、当時の視聴者にとっても梅津ダンの存在感は薄れていったと思われます。
ちなみに梅津ダンを演じたご本人、梅津昭典さんは、のちの『円盤戦争バンキッド』(1976年)の「バンキッドオックス」こと「牛島二郎」役でついに変身ヒーローになりました。やはり梅津ダンは只者ではなかったのです。
(LUIS FIELD)


