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実写映画で描いてほしかった漫画の名場面3選 「伝説の土下座」カットは残念?

マンガの実写化作品では、そもそも画面に再現することが難しい場面や、年齢指定が変わってしまいそうなシーンはカットされることもしばしばあります。今回は、ファンの評判がよかった実写3作品から、惜しくも「なくなってしまったシーン」を振り返ります。

もし香川照之さんが「焼き土下座」を演じていたら?

クライマックスの銀時と桂の共闘がカットされた『銀魂』ポスタービジュアル (C)空知英秋/集英社 (C)2017「銀魂」製作委員会
クライマックスの銀時と桂の共闘がカットされた『銀魂』ポスタービジュアル (C)空知英秋/集英社 (C)2017「銀魂」製作委員会

 人気マンガの実写作品では、上映時間の都合はもちろん、技術的に再現が難しい、残酷すぎるなどの理由でいろいろな描写がカットされるケースが多々あります。それは、映像作品に落とし込む以上、仕方ない部分もあるのですが、原作を知っているファンとしてはどうしても「あれ見たかったな」と思ってしまうものです。

 今回は、ファンの間でも「成功作」といわれることの多い実写映画3作からカットされてしまった、「難しいのはわかるけど、描いてほしかった場面」を振り返ります。

●『カイジ 人生逆転ゲーム』……利根川の「焼き土下座」

 藤原竜也さんの熱演を中心に話題になった実写版「カイジ」シリーズ。原作の「限定ジャンケン」「鉄骨渡り」「Eカード」などの場面を緊迫感たっぷりに描いた一方で、「チンチロ」や「ティッシュ箱くじ引き」などの勝負はカットとなりました。そして、今でもSNSなどで「あれがなかったのが残念」と言われるのが、「焼き土下座」の場面です。

 灼熱の巨大鉄板の上で10秒間土下座をさせるという恐怖の謝罪方法であり、原作ではEカードに負けた帝愛幹部・利根川への制裁手段として登場。兵藤会長の冷酷さ、異常性を端的に表し、そして利根川が甘んじて罰を受け入れ、土下座強制機なしの自力で12秒も土下座をして最後の意地を見せる名場面として有名です。

 Eカードでのカイジの耳カットも削られていたので、年齢による鑑賞制限を避けるためになくなったものと思われます。もちろん、原作をそのまま実写化したら、見ていられないくらいの残酷シーンになるのは間違いないのですが、映画で利根川を演じたのは、のちに『半沢直樹』で伝説の土下座シーンを作った名優・香川照之さんです。香川さんなら、もしかしたら原作を超えるすさまじさに加え、独自の面白さもある「焼き土下座」シーンを作れたのではないかと思ってしまいます。

●『銀魂』……銀時&桂vs宇宙海賊春雨

 キャラやセリフの再現度の高さで評価の高い実写版『銀魂』。アニメ映画版のワーナーブラザーズのロゴのくだりをやり直すギャグまで再現するなど、福田雄一監督のこだわりが評判を呼びました。

 アクションシーンでもなるべく原作通りを貫いており、銀時vs岡田似蔵の戦いで紅桜の刀身の上に銀時が飛び乗る荒唐無稽な場面までしっかり再現しています。しかし、一方で「紅桜篇」ラストの名場面の呼び声高い、銀時&ヅラ(桂)が共闘し宇宙海賊春雨と戦うシーンがなくなっているのが残念だ……という声もありました。

 アニメ映画『新訳紅桜篇』のラストバトルのクオリティをこえるのは難しかったのか、あるいは春雨まで出してくると初見の観客が混乱すると判断したのか……理由はいくつか考えられますが、クライマックスでは代わりに銀時vs高杉のバトルが繰り広げられます。

 この戦い自体もまた見ごたえはあったのですが、ヅラが戦いに参加していないため、原作の銀時とふたりで高杉に向けて放つ「全力でてめーをぶった斬る!!」の名ゼリフがなくなってしまいました。「vs春雨戦は無理でも、ここは再現してほしかった」などの声が多かった場面です。

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