つい応援したくなるマンガの悪役4選 ピンチにハラハラ 成長も主人公並みに熱い
子供のころ、ヒーロー番組やアニメを見て悪役側をなぜか応援していたことはないでしょうか。悪いことはしているけれど、自分の目標や成長のために頑張る、ついつい応援したくなるマンガの悪役たちを紹介します。
もはや主人公?ガロウの成長から目が離せない
SNSなどを見ると、「小さいころに『アンパンマン』を見ている時、ばいきんまんを応援していた」という人たちが一定数います。毎回アンパンマンに戦いを挑むも絶対に勝てないばいきんまんに対し、ついつい応援してしまう心理が生まれるようです。ほかにも『ポケットモンスター』でロケット団側を応援したり、『金田一少年の事件簿』や『名探偵コナン』の犯人を庇いたくなったり、スポーツマンガのライバル校側を応援したりと、誰もが一度くらいは「悪役・敵役」側をひいき目で見たことはあるのではないでしょうか。
今回はよく話題になる、人気マンガの「ついつい応援してしまう悪役たち」を振り返ります。
●『ワンパンマン』のガロウ
幼少時、まさに冒頭で述べた「悪役を応援する」子供だったのが、『ワンパンマン』に登場した「ヒーロー狩り」の悪役・ガロウです。かつて流水岩砕拳の達人・シルバーファングの弟子だった天才で、S級含む数々のヒーローや怪人協会の敵と戦うなかで急速すぎる成長を見せています。
小さい頃からヒーローの主張する正義に疑問を抱き、ヒーローごっこで無理やり怪人役をやらされ、いじめられるなどの「理不尽」を味わった彼は、成長してから自己満足で正義を振りかざすヒーローたちを血祭りにあげるようになりました。
「世の中に必要なのは不平等な正義ではない。平等な絶対悪だ!」
という信念の通り、誰もが恐れる「絶対悪」となって、人類の間での争いや理不尽をなくそうという風に、偏りまくりながらも世界全体のことを考えているガロウ。主人公のサイタマがあっという間に敵を倒すこともあり、ほとんど裏主人公のようなガロウの戦いを応援してしまう人が多いようです。
サイタマとの直接対決となっても「ガロウの目指す世界を見てみたい」「これぞダークヒーローって感じでめっちゃ応援したくなる」「ガロウとサイタマどっちも応援しちゃう」と支持を集めています。怪人となりながらもヒーローを誰も殺しておらず、いじめられっ子のタレオを守って戦うなど、安心して推せる悪役です。
●『ジョジョの奇妙な冒険』第4部の吉良吉影
『ジョジョの奇妙な冒険』第4部に登場し、杜王町でひっそりと暮らしながら、数えきれない人数の手のきれいな女性を殺していた吉良吉影。今回紹介するキャラのなかでは、一番シンプルに極悪人で危険な男です。しかし、読者からの人気は絶大で、荒木飛呂彦先生本人が選ぶ好きなキャラランキングでも、東方仗助に次いで2位につけています。
SNSなどを見ると、吉良のしたことが許されないのは当然理解しつつ、それでも彼を「応援」してしまう人が一定数いるのは興味深い点です。平穏な「植物の心のような人生」を望んでいる点は共感しやすいですし、そんな生活を望んでいる割にはたまにおっちょこちょいでピンチに陥るところや、静かに暮らすために涙ぐましい努力をしているのも応援したくなるポイントと言えるでしょう。
重ちーが間違えて女性の手首が入った袋を持って行ってしまい取り返そうと奮闘したり、逃げ切るために自分の手を切り落として涙を流したり、成り済ました川尻浩作の筆跡を必死に練習したり、「猫草」から妻・しのぶを守ろうとしたりと名場面も多々あります。
また、逃げ切りたい一心でついにスタンド「キラー・クイーン」が進化を遂げて「バイツァ・ダスト」を身につけるなど成長も著しく、殺人鬼でさえなければ主人公のようですらありました。マンガ史に残る「激ヤバ」なサイコキラーでありながら、読者に応援する心理を生み出してしまう演出力とキャラの作り込み、さすが荒木先生です。