「PS5」の先行きは? 値上げがもたらす最悪のシナリオ
この先の見通しに明るい材料はある?

●伸びないシェアに、ソフトメーカーが警戒する可能性
PS5の買い控えが発生した場合、困るのはSIEだけではありません。PS5向けのゲームソフトを開発・販売するソフトメーカーもまた、厳しい立場に置かれています。
ゲームソフトが売れるのは、そのソフト自体に魅力があるから。それは大前提ですが、受け皿となるゲーム機がどれだけ売れているかがソフトの販売数に大きく影響します。例えば、ふたりにひとりが買うような素晴らしいゲームであっても、対応するゲーム機が1万台しか売れてなければ、売り上げは5千本にしかなりません。
これまでのPS5市場も、ソフト展開が順調とは言えませんでした。購入意欲に繋がるような独占タイトルが少なく、ほかのプラットフォームでも遊べるケースがほとんど。PS4やPC、Nintendo Switchがあれば、プレイ体験に差こそあれ大半の作品を遊ぶことが可能です。
他のプラットフォームに流れてしまう併売が続くのは、PS5がまだシェアを十分確保できていないため。PS5ユーザーだけの売り上げでは、一作品の開発費や利益を支えきれないのが現状です。この状況を脱する、もしくは併売にせよPS5の重要度を上げるには、そのシェアを大きく伸ばすほかありません。
しかし直近では、まだ品薄が改善される見通しもありませんし、今回の値上げで買い控えが出れば、厳しい状況はさらに続きます。その場合、ソフトメーカーも併売を続けるしかありませんし、別のプラットフォームを主軸にする可能性もゼロではありません。
ここまでの付き合いがあるので、急に手を引くことはないでしょう。しかし、今回の値上げでシェア拡大がさらに停滞する事態になれば、各ソフトメーカーがPS5に対する重要度を下げる可能性は十分あります。
いつ、どこからが致命的な分岐路になるかは分かりませんが、PS5向けの新作がまったく出ないような状況になれば、PS5ユーザー全体にとっての不利益にしかなりません。そんな事態はなんとしても回避して欲しいばかりです。
●値上げするPS5に、明るい見通しはあるのか?
値上げの実施理由は、世界的な物価の高騰や為替の影響によるものなので、これが短期間で改善するとは考えにくいでしょう。ですが、少なくともSIEが利益を求めて値上げに踏み切ったわけではないため、今後十分な利益が出れば、過去のゲーム機のような廉価版が登場し、実質的な値下げを迎えられる可能性があります。
また、値上げ実施日の9月15日に、新たなマイナーチェンジとなる「CFI-1200」モデルが発売されるという話も持ち上がっています。一部の販売店の公式サイトでは、CFI-1200モデルの情報を記載しており、今も閲覧できることから信ぴょう性は高そうです。
これはひとつの推測に過ぎませんが、SIEが発表していた生産体制の強化がCFI-1200モデルに向けられていた場合、このタイミングで供給量がいくらか改善するかもしれません。もしPS5が購入しやすくなれば、「正規の価格だから、5500円の値上げを飲み込んでも欲しい」と考える人は少なくないでしょう。
値上げそのものは、消費者にとって喜ばしい話ではありません。ですが、今回の値上げは日本のみならず、欧州やイギリス、中国なども含め、広範囲に実施されます。しかもそのほとんどが発表と同時に適用されましたが、日本は値上げの実施まで2週間以上の猶予が与えられており、むしろ優遇されている形です。
また日本での値上げ後の価格は、値上げされなかった米国と比べてもまだ安く、それぞれの希望小売価格を近づける意味合いも含まれていると思われます。これを放置すると、「日本で安く買い、海外に向けて転売する」といった動きを後押ししかねないので、苦渋の決断とも言えます。
値上げに気を重くしているのは消費者だけでなく、SIEも同じかもしれません。無理やりポジティブに考える必要はありませんが、悪い印象に引きずられ過ぎず、まずは穏やかな気持ちで静観するのも一興でしょう。
(臥待)



