スネ夫がウルトラ世界に転生? アニメ『ウルトラマンキッズ』の不思議
アニメ『ウルトラマンキッズ』を覚えていますか? ほぼジャイアンのバルタン星人バル、そしてその子分はなぜかガッツ星人のガッツン。その理由も考えます。
バルタン星人がまさかのジャイアン?
アニメの「ウルトラマン」と聞いて思い浮かべる作品は、世代によって違います。1979年放送開始の『ザ☆ウルトラマン』を思い浮かべる人もいれば、2019年にNetflixで配信された『ULTRAMAN』を思い浮かべる人も多いでしょう。
この記事はそのどちらでもない、児童向けアニメ『ウルトラマンキッズ』をピックアップ。絶妙なキャスティングの意図を掘り下げます。
『キッズ』はもともとキャラグッズであり、そこから人気に火がつき、1984年には映画化され、1986年TVアニメ化されました。そして1991年には『ウルトラマンキッズ 母をたずねて3000万光年』が放送開始されたのです。堂々たるパロディぶりです。
この『キッズ』シリーズの世界は、私たちの知るものと違います。舞台は「M7.8星」と十分の一に。ウルトラ族、そして怪獣、宇宙人の「子供」たちが仲良く暮らしています。
果たしてどんなメンツがレギュラーだったかというと……まず主人公であり両親が行方不明のマー。ウルトラ族の男の子です。そして限りなくセブンの「セブ」、タロウの「ター」、そして女の子の「ピコ」がいます。
気になるのが「怪獣」「宇宙人」たちです。まずは「ピグモン」のピグコ。さすがは友好珍獣です。そしてバルタン星人モデルの「バル」。これがなかなかのいじめっ子であり、妙にむっちりしています。まさに『キッズ』におけるジャイアンといったところ。
そしてその子分、つまりは「スネ夫」枠なのがガッツ星人モデルの「ガッツン」です。バルのことを親分と呼ぶ徹底ぶりです。
一体、なぜバルタン星人の子分がガッツ星人なのでしょうか。これはもう「スネ夫」→「口が尖っている」→「ガッツ星人」という流れを辿(たど)ったとしか思えません(もちろん、ある程度の知名度も重要です)。
実際、ガッツ星人は白色なのに対し、ガッツンはご丁寧にもスネ夫のイメージカラーである「緑」の体色に変更されています。さらに極め付けは声優を担当されたのが本家スネ夫と同じ肝付兼太さんなのです。これはもう「スネ夫が転生したらガッツ星人だった件」です。
もちろん本作の見どころは他にもたくさん。マーの両親を探す旅に出る『キッズ』たちの健気さ、キュートさ、是非ともウルトラサブスクこと「TSUBURAYA IMAGINATION」で配信して欲しい限りです。
(片野)