『ガンダム』にも影響? 美形敵キャラを輩出した『ボルテスV』と「長浜ロマンロボ」
悲運を背負った美形キャラに、女性ファンは萌えた

連続ドラマとしての面白さに加え、「長浜ロマンロボ」で忘れられないのは美形キャラクターの存在です。『巨人の星』の花形満しかり、富野由悠季監督の途中降格を受けた『勇者ライディーン』のプリンス・シャーキンの結末しかり、長浜監督作品では主人公のライバルとなる美形キャラが強いインパクトを放っています。
長浜ロマンロボなら、『コン・バトラーV』の大将軍ガルーダ、『ボルテスV』のプリンス・ハイネル、『闘将ダイモス』のリヒテル提督です。それまでの敵役は、見るからに悪役っぽいビジュアルで描かれることが多かったのですが、ガルーダ、ハイネル、リヒテルはルックスだけでなく、心もイケメンで、主人公に対して真っ向勝負を挑みます。中世の騎士を思わせるキャラ設定です。
高貴な身分に生まれながら、悲劇的な運命に彼らは翻弄されることになります。長浜監督が描くロボットアニメは、女性ファンからも熱い支持を集めました。
富野由悠季監督に与えた影響
勧善懲悪的なそれまでのアニメ作品とは異なり、敵対する側にもいろんな事情があり、対立構造があることが長浜監督作品からは感じることができました。
1979年にTV放映された『機動戦士ガンダム』(テレビ朝日系)で大ブレイクした富野由悠季監督は、「さすらいのコンテマン」時代に『巨人の星』に参加しており、長浜監督と初めて遭遇しています。
「アニメにこれほど率直に情熱を注ぎ込むことのできる長浜監督をうらやましく思った。僕にとって、アニメはメシの種以上のものではなかったからだ」
富野監督は著書『だから僕は… ガンダムへの道』(徳間書店)で、そう記しています。長浜監督の仕事に対する取り組み方は、富野監督に大きな刺激を与えたようです。また、『ボルテスV』の最終回では、主人公の剛健一は因縁深きハイネルと剣で戦うことになります。長浜ロマンは、『機動戦士ガンダム』に多くの点で影響を与えたことがうかがえます。
アニメファンを長浜監督はとても大切に扱い、ファンがスタジオを訪ねると歓待し、ファンクラブ設立への協力を惜しまなかったそうです。多忙でありながらも睡眠時間を削って、ファンレターの返事をまめに書き続けたことでも知られています。アニメーションが日本を代表する文化になることに、多大な貢献を果たした人物だったと言えるでしょう。
1980年に48歳の若さで急逝した長浜監督は、『ボルテスV』が映画化されることを望んでいたそうです。フィリピンで実写ドラマ化されたことを、きっと遠い星から喜んでいるのではないでしょうか。
(長野辰次)





